大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)1200 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人安楽半二の上告理由第一点について。

記録によると、上告代理人は第一審第一二回口頭弁論期日において所論同時履行

の抗弁の主張を撤回し、その後原審口頭弁論終結に至るまでこれを主張しなかつた

こと明らかであるから、原判決には所論のような判断遺脱はなく、論旨は理由がな

い。

同第二点について。

所論原審の認定は原判決の採用した証拠に照らし、十分首肯することができる。

所論は原審の適法にした事実認定の非難を出でず、採用することができない。

同第三点について。

原判決中、所論のような上告人の氏名の誤があるとしても、それは、単なる誤記

と認められるから、更正決定の理由とはなり得ても、上告適法の理由とならず、論

旨は採用できない。

同第四点について。

第一審で上告人(被告)らは抗弁として、被上告人(原告)は判示訴外D自動車

株式会社の株式千株を引受けたが、上告人A1、同A2はその株金百万円を立替え

て払込み、すでにこの立替金債権と本訴請求にかかる債権とを相殺する意思表示を

した旨の事実を主張したのに対し、原審の引用する第一審判決は、右被告本人A1、

同A2の供述には右抗弁事実に副うような部分があるが、右供述は後記の諸証拠に

照らし措信し難く、その他の証拠を以てしても右抗弁事実を認めうる証拠はない、

と断定した上、いわゆる後記の諸証拠によれば却つて抗弁事実と相容れない判示の

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ような事実が認められる旨説明を加えたものであること判文上明瞭である。換言す

れば右判示は後者の諸証拠は抗弁事実と異る事実を示しこれを否定させる有力な資

料であるとの趣旨のものと解されるから、右のような関係において当事者の主張し

ない又は主張と異る事実を判示しても弁論主義に反するものということはできない。

論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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