最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)125 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人古明地為重の上告理由第一について。
原審証人Dの第一回証言中には、所論甲四号証の一、二が被上告会社備付の売掛
帳であり、同五、六号証の一、二は被上告会社で用いていた送金簿である旨の陳述
がある。また、第一審証人Eの第一回証言によれば、所論甲一、二、三号証が被上
告会社の売掛帳なることを認めることができる(尤も、その現実の記帳者について、
同証人の陳述がその後変更されていることは所論のとおりであるが、右各号証が被
上告会社の売掛帳なることを疑わせるような陳述があるわけではない)。されば、
原審が原審証人Dの第一回証言により甲四号証の一、二、同五、六号証の一、二の
成立を、また第一審証人Eの第一回証言により甲一、二、三号証の成立を認めたの
は何等違法ではない。
所論は、独自の見解に立脚して原審が適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を
非難するものであつて、採り得ない。
同第二について。
原判決認定の事実によれば商品売掛代金債権を有する商人が右売掛代金債務者か
ら借入れた借受金の弁済を求められた際相殺権を行使せずしてこれを弁済したこと
になるからといつて、右事実認定が実験則に反するとはいい難い。
それ故、原判決には所論のような審理不尽、実験則の誤解又は看過等の違法はな
い。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
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最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
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