大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)219 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人人見福松の上告理由第一点について。

約束手形用紙の手形要件記載欄のうち受取人を表示すべき部分を空白としたまま

第三者に交付された約束手形については、特段の事情の認められない限り、その作

成者が後日第三者をして右空白部分を補充せしめる意思を以て、之を白地手形とし

て振出したものと認めるのを相当とする(大審院大正一〇年七月一八日判決、民録

二七輯一三五〇頁以下。同大正一四年一二月二三日判決、民集四巻七六一頁以下。

各参照)のであつて、右と同旨に出でたことの判文上明らかな原判決は、上告人の

右の点に関する主張及び悪意取得の仮定抗弁を排斥する認定判断として間然すると

ころなく、所論の如き違法は認められない。また、記録によると、証人Dは所論争

点に関する唯一の証拠方法ではないのみならず、同証人は適法な呼出を受けながら

昭和三一年五月二八日の原審証拠調期日に無断出頭せず、更に同年九月三日の期日

には上告人の訴訟代理人さえ無断出頭せざるに至り、而も呼出費用も乏しくなり、

ために原審は右証拠調決定を取消し弁論を終結するに至つたものであることを看取

し得られるのであつて、右点に関する原審の訴訟手続に所論の如き違法は認められ

ない。論旨中憲法三二条違背を言う点は実質は右訴訟手続の違法を主張するものに

ほかならず採用できない。

同第二点について。

記録によれば、所論Eは昭和二八年五月一五日被上告会社の代表取締役たる地位

を退いたが、昭和三〇年四月二五日Fが右代表取締役に就任するに至る迄の間商法

二六一条三項、二五八条一項により代表取締役としての職務権限を有したことを認

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めるに足るから、右権限のなかつたことを前提とする所論はあたらない。

同第三点について。

原審は、被上告人及びその後者であるGの為した裏書が何れもいわゆる白地裏書

であつたこと、その他の事実を認定して居るのであり、右認定にかかる事実関係の

下においては原審が被上告人を係争手形の適法な所持人であると判断したことの相

当であることを肯認し得られるのであつて、右点につき原審に所論違法は認められ

ない。

叙上説示した部分以外の論旨はすべて原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令

の違背を主張するものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

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