大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)285 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人泉功復代理人広瀬武文の上告理由第一、二点について。

論旨は、原判決に双方代理の例外規定である民法一〇八条但書を適用しない違法

及び上告会社と弁護士泉功との間に民法九九条一項の代理関係の存在することを無

視した違法があると主張する。

しかし、論旨は、原判決を正解しない所から出て居るのである。

原判決は、原判示の経緯により被上告人と訴外Dとの間に所論債権の帰属をめぐ

つて紛争を生じ、上告会社においても、双方よりの請求に困惑した余り、中立的立

場を明かにする措置として、上告会社の顧問弁護士泉功の手に本件保管金を移すこ

とゝし、同額の小切手を振出し、これを同弁護士に交付したものであつて、その際

これによつて、被上告人への支払を排除する趣旨でのDへの弁済であることを示す

ことなく、むしろ被上告人またはDの何れか一方への弁済でなく、紛争の処理を一

任して保管を移譲する趣旨を表示し、同弁護士もこの趣旨を諒承して居た事実を確

定して居るのである。

論旨は、原審の適法に確定した右事実に即しない独自の見解により、原判決を攻

撃するに帰するのであるから、これを採用し得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

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裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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