大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)380 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人綿貫卯之助の上告理由の(一)について。

上告人が本訴請求原因として主張するところを見ると、先ず、本件小切手が訴外

D自身により或は少くとも同人の意思にもとづいて振出されたものであることを前

提とし、右小切手振出の法律上の効果が被上告会社に帰すべき所以として、第一審

判決事実摘示三の(イ)(ロ)及び原判決事実摘示(三)の如き事実上法律上の主

張を順次展開しているのである。されば、原審が、本件小切手はD自身により又は

同人の意思にもとづき振出されたものでなく訴外Eの偽造にかかるものであると認

定した以上、爾余の争点に対する判断をなすまでもなく上告人の本訴請求を棄却す

べきものとしたのは当然であつて、何等所論のような違法はない。

同(二)について。

原審は、訴外Fに被上告会社東京事務所長Dを代理し同人名義で小切手を振出す

権限があつたとは認定していない。

所論は、原判示に副わない事実に立脚して原判決を論難するものであつて、とり

得ない。

同(三)について。

原判決挙示の証拠によれば、原判示偽造の事実を認定するに難くない。

所論は、原審の適法にした事実認定を非難するにすぎない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

- 1 -

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!