大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)462 判決

主 文

本件上告を棄却ずる。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人高橋隆二の上告理由第一点、第二点について。

原判決が所論契約の趣旨に関してなした事実認定の趣旨は、要するに、昭和二五

年九月二〇日、被上告人はその所有の本件宅地を訴外Dに建物所有の目的の下に賃

貸した、しかし、元来本件宅地は被上告人がその弟Eに無償で貸付けEは使用借権

を持つていた関係があり、また建物所有を目的とする土地の賃借権をも巷間往々に

して地上権と呼ぶこともあるので、右賃貸借については、Eの権利をDに譲渡する

形式をとり「借地地上権譲渡」という用語を用いた、そして、権利譲渡の形式をと

つたことから、貸主(所有者)たる被上告人の承諾あることの形式をも整えたので

ある、右契約は物権たる地上権の設定ではない、というにあるものと解するのを相

当とする。従つて、原判決が「DがE及び被上告人から取得した本件宅地に対する

借地権」というのも、E、被上告人両名が貸主というのでなく、形式上の権利譲渡

人と実質上の賃貸人とを併せ判示した趣旨にほかならない。

してみれば、原判決には権利の性質、契約の当事者等に関し何ら所論のような矛

盾なく、また当事者の主張に反し当事者間に争ない事実に反する認定をした違法も

ない。

また、原判決の採用した証拠によれば前示の如き趣旨の事実認定をすることは是

認できる。所論乙一号証借地地上権譲渡証に「地上権」等の如き記載があつても、

これと原判決挙示の他の証拠とを比照綜合して同号証の文言とある範囲において趣

旨を異にする原判示趣旨の契約の成立を認定することは、証拠の趣旨の誤解、経験

則違反であるとはいえない。

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論旨はいずれも理由がない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり

判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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