大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)466 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人神山隆文の上告理由第一点について。

論旨は、訴外Dは、法津上許された選挙運動を何もしていないにかかわらず、原

判決が同人を被上告人の選挙運動を総括主宰した者と認定したのは法令の解釈を誤

つた違法があるというのである。しかし、総括主宰者は必ずしも所論のように、文

書、演説、ポスター、立看板等による具体的運動を自ら手を下してすることを要せ

ず、これらの運動を全体として総括主宰した者であれば、これを法二五一条の二の

「選挙運動を総括主宰した者」と解するに支障はない。そして原判決の認定すると

ころによれば「Dは本件選挙運動期間中殆ど毎日前記E旅館の二階の奥の一室を独

占使用しここにおいて被告の選挙運動のいわゆる参謀格であつたF、G、H等と協

議して重要事項を決定しその決定を自ら或は右F、G、H達を通じて下部の運動員

に伝へ、また右運動員等の報告をも右G等を通じて受けていた」というのであるか

ら、同人を総括主宰者と認定したことに所論のような違法はない。

同第二点について。

論旨は、原判決は掲示責任者が総括主宰者であるという慣習法に違背するという

のであるが、所論のような慣習法の存在は考えられない。Iが立看板、高張提燈、

ポスターに責任者として氏名を表示した事実があつたからといつて、同人を総括主

宰者としなければならないことはない。

同第三点について。

論旨は、原判決は、演説会において責任者と表現された者が総括主宰者であると

いう慣習法に違背しているというのであるが、所論のような慣習法は考えられない。

- 1 -

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!