最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)520 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人井藤誉志雄の上告理由第一点について。
所論は、原判決に理由不備または理由�の違法があると言い、その理由として(
一)被上告人は本件建物を時価より割安に買い受ける上にも、またDとの紛争を有
利にする上にもその買受人をE名義に登記しなければならない理由はなく(二)被
上告人が上告人の拘留中に弟Eと甲五号証記載の建物を代金一二〇万円で買い受け
る契約を結んだとの理由も考えられず、売買残代金二九万円が交付されたこともう
なずけないと主張する。しかし、原判示事実は、その挙示する証拠を総合すれば認
定しえられるのであり、所論甲五号証の売買契約書が上告人の拘束中に作成された
としても、上告人はその後釈放されてから甲六号証の追加契約書を作成して本件建
物を被上告人に譲渡することを承諾していること、原判決の認定するところである
から、売買の動機、縁由などがいくらかはつきりしないとしても、本件建物につい
て上告人と被上告人との間に売買契約がなかつたとはいえない。論旨は結局、原審
が正当にした事実認定を非難するに帰するので採用できない。
同第二点について。
所論もまた、原審の採用しない証拠を論拠として、原判決の事実認定を非難する
にほかならないので理由がない。そして、上告人は本件建物の所有権を被上告人に
譲渡したものではないと争つたところ、原判決は右譲渡を認めて被上告人の建物所
有権に基く建物明渡の請求を正当として認容したものであつて、その判断は正当で
あるから、原判決には所論のような理由不備、審理不尽などの違法はない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
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おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 垂 水 克 己
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