大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)600 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人丸岡奥松の上告理由について。

論旨は、原判決に、自作農創設特別措置法に基く行政処分の効力を誤つて解釈し

た違法及び証拠と判示事実との間に理由齟齬があると主張する。

原判決及びその引用する第一審判決によれば、原審は、本件農地につき、昭和二

五年一〇月四日青森県D農地委員会において買収計画を樹立し、その後上告人は、

青森地方裁判所に対し、同農地委員会を相手どり右買収計画取消請求の訴(同庁昭

和二五年(行)第五七号)を提起し、その審理中、青森県知事も補助参加の上、昭

和二六年一月一六日の口頭弁論期日において、右買収計画の存在しないことを確定

する旨の和解成立したが、それにも拘らず、この不存在とせられた買収計画に基き、

昭和二六年三月二日国において本件農地を買収し、同日これを被上告人に売渡す処

分のなされた事実を確定して居る。以上の事実関係よりすれば、農地委員会の本件

農地買収計画が存在しないこととなつた後に至りこれに基く農地の買収並に売渡処

分があつたこととなるのであるから、これ等処分は当然無効となすべきであり、し

たがつて、右買収並に売渡処分を原因とする所有権移転登記も亦無効であると解す

べきである。原審挙示の書証によれば、右登記を右買収並に売渡処分の取消を原因

として抹消したものの如くであるけれども、これは、登記手続の便宜より出た処置

に過ぎないのであつて、所論の如く、右買収並に売渡を無効とみなして居ないもの

とはいえない。

原審も亦、以上と同趣旨の判断をして居るものであることは、容易に看取し得ら

れる。尤も原審は、所論の如く、右買収並に売渡処分を原因とする所有権移転登記

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の抹消登記以前に、右買収並に売渡処分が黙示的に取消された旨判示して居るけれ

ども、右原判示は、これ等の処分が無効であるとの判断に影響を及ぼす程の意味を

持つものとは、到底考えられない。したがつて、原審に、所論の如き違法があるも

のとは、なし得ない。

更に論旨は、本件農地につき、前記買収並に売渡処分が一旦有効になされたもの

であることを前提として、その後昭和二七年三月三一日実行せられた買収並に売渡

処分の無効を云為する。

しかし、先に実行せられた本件農地の買収並に売渡処分の当然無効であることは、

前段説明の通りであり、これを原因とする所有権移転登記が残存して居ても、本件

農地につき新になされた所論の買収並に売渡処分の有効なることに妨げとなるもの

ではない。

論旨は、すべて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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