大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)626 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人後藤衍吉、同後藤文彦の上告理由第一点について。

論旨は、原判決に、民事調停法一六条、民訴二〇三条、二〇一条一項の解釈を誤

つた違法があると主張する。 しかし、原審は、必ずしも被上告人と上告人との間

における、本件家屋明渡に関する調停調書の執行力が、所論Dには及ばないと判断

して居るものとは、原判文上解し得らないから、論旨の主張する所がその前提を欠

くばかりでなく、原判示事実に関する判断の内に、孤括して、第三者に対し調停調

書の執行力は及ばないとの辞句が挿入せられて居ても、これが原判決主文に影響を

及ぼすまでに、原審の判断を左右する程の価値あるものとも考えられない。

論旨は、採用し得ない。

同第二点について。

論旨は、原判決に、所論調停条項、引いて法令を誤つて解釈した違法があると主

張する。

しかし、論旨は、結局、原判決の事実認定を単に否定し或は原判示に即しない事

実に基いて原審の判断を非難するに帰する。

論旨は、採用し得ない。

同第三点について。

論旨は、原判決に理由齟齬の違法があると主張する。

しかし、原判決には、訴外Dの本件家屋の使用占有が、被上告人に対する関係に

おいては不法であるけれども、唯々被上告人において、右Dの懇請に基き、その立

場を考慮し、本件家屋の明渡の強要を暫時見合せることとし、その代り家屋使用料

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として明渡まで月六、五〇〇円の支払を受けることとした事実を認め得られるに過

ぎないのであつて、被上告人と右Dとの間に、信頼関係に基く継続的法律関係を招

来する本件家屋の賃貸借契約の締結せられた事実を確認し得ない旨判示してあるも

のなることが、原判決文上容易に看取せられ、この判断は是認し得られる。この判

示と上告人の所論主張を排斥した判示との間には、少しも所論の如き齟齬のあるこ

とを見出されない。

論旨は、採用し得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁制官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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