大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)1019 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人高島文雄の上告理由第二点について。

民法一一〇条にいわゆる代理権ありと信ずべき正当の理由があるとは、当該第三

者においてしかく信じたことは諸般の事情に照らし普通の注意力を有する者の措置

として毫もとがめるところがないという趣意であると解するを相当とする(昭和九

年(オ)第九一六号、同年一一月一三日大審院判決、民集一三巻二〇七三頁参照)。

ところで原判決において、被上告人らの先代Dに正当理由を肯定するために認定し

た事情は、訴外Eが本件土地につき地代の取立、納税などの土地管理を上告人から

委任されていたこと、上告人が訴外Fに本件土地売却の代理権を授与して甲三号証

を交付したこと、上告人および右Fは右Eに土地売却についての協力、斡旋を依頼

しFがEに甲三号証を交付したこと、ならびにEは本件売買契約を締結するに当り

右Dに甲三号証を示したことである。けれども土地の管理人は、一般に、地代取立

などの管理行為に属する権限は有するが、土地売却などの処分行為については代理

権を有しないと解するのは、一般社会取引通念上相当であるから、右Eが本件土地

の管理人であつたとの一事から、たやすく、正当理由を肯定することはできない。

また甲三号証は上告人の名刺に「F氏小生の代理人として万事御相談願升(委任状

代用)、A、G、E樣」と記入されているだけであるから、DがEから甲三号証を

示されたことによつて、たやすく、正当理由を肯定することもできない。またその

他の原判決認定の事情に徴しても被上告人らの先代Dに正当理由を肯定することは

困難である。しからば原判決は何ら首肯するに足る判断を示すことなく、たやすく、

被控訴人らの正当理由の主張を認容したものというべく、原判決には審理不尽、理

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由不備の違法があるといわなければならない。この点の論旨は理由があり、原判決

はこの点において破棄を免れない。

よつて、その他の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条を適用し全裁判官一

致の意見を以て主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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