大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)1022 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人横田真一の上告理由第一点第一について。

原判決引用の第一審判決において、本件約束手形の白地部分に受取人の氏名を補

充する権利は、割引により右手形を取得した者にのみ付与せられたものであつて、

訴外Dは、単に右手形割引の斡旋を依頼せられたに過ぎないから、右補充権を有す

るものでなかつたとの事実が確定せられて居ること、所論の通りである。しかしな

がら、原判決並にその引用する第一審判決によれば、原審は、被上告人が同判示の

経路により白地裏書を受けて右手形を取得するにつき、被上告人に悪意または重大

な過失のあつたことを、証拠上認め得ないとして居り、そのことは、これを是認し

得る。したがつて原審が、上告人は被上告人に対し、右手形振出人としての責任を

免れ得ないと判断したのは正当であつて、原判決に所論の違法あることを見出し得

ない。

論旨は、理由がない。

同点第二について。

約束手形の要件が充足して居るか否かは、手形自体より形式的に判断すべきもの

であるから、本件約束手形に受取人として記載せられたE株式会社が、所論の如く

未登記であるため未だ実在するに至らないものであつても、右手形面自体より要件

の缺けて居ることの認められない以上、右手形を以つて、所論の如くに無効のもの

とは、なし得ない。これと同旨に出た原判決は正当であつて、これに所論の違法は

ない。

論旨は要するに、独自の見解に立つて原判決を論難するに外ならぬものであつて、

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理由がない。

同点第三(一)について。

原判決並にその引用する第一審判決によれば、原審は、訴外Fが被上告人の使用

人であるとの、上告人主張事実を、証拠上認め得ないとして居り、このことは、こ

れを是認し得る。原判決に所論の違法あることを見出し得ない。論旨は、原判決に

おいて否定せられた事実を更に主張し、これを前提として原判決を非難するに過ぎ

ない。

論旨はこれを採用するに足らぬ。

同点第三(二)について。

原判決並にその引用する第一審判文によれば、原審は、被上告人において、訴外

Fより白地裏書により本件約束手形の譲渡を受け、当時Gという匿名にて取引して

居つた訴外株式会社H銀行I支店に、その匿名により右手形取立の委任裏書をなし、

同支店が満期に支払場所に呈示して支払を求め、その支払が拒絶せられたので、右

支店より右手形が被上告人に返還せられたとの事実を認定して居る。被上告人が前

記の如く匿名にて同支店に右手形取立の委任裏書をなしたからとて、これを以つて

所論の如く、被上告人が右手形を取得したことを満期前の裏書による手形取得に当

らないものとは、なし得ない。論旨は、要するに独自の見解に立つて原判決を非難

するに帰する。

論旨は、理由がない。

同点第三(三)について。

第一審判決においては、被上告人が債務者たる上告人を害することを知つて本件

約束手形を取得したとの上告人主張事実を証拠上否定すべきものとせられて居り、

原判決はこれを正当として引用して居る。このことは、是認すべきものである。原

判決に所論の違法あることを見出し得ない。論旨は、原判決において否定せられた

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事実を更に主張し、これを前提として原判決を非難するに外ならない。

論旨は、これを採用し得ない。

同第二点について。

原審において上告人の申請した所論証人訊問は、所論の如き唯一の証拠方法に当

らないこと、記録上、明白である。したがつて、これを取調べなかつた原審の措置

を以つて、違法となし得ない。論旨はその違法を前提として原判決の違憲をも云為

するけれども、前提において既に失当である。

論旨は、これを採用し得ない。

よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

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