大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)1100 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人佐久間渡の上告理由第一点について。原判決挙示の証拠により原審が、

原判決並にその引用する第一審判決判示の諸事実を認定したことは、これを是認し

得られ、この事実関係よりすれば、合名会社である上告人の総社員は、上告人にお

いて原判示の土地に家屋を建築し、これを上告人に賃貸する本件契約に対し、同意

を与えて居つたものと推認するのが相当である。これと同旨に出た原判決は正当で

あつて、原審の所論認定判断に所論の違法はない。

論旨は理由がない。

同第二点について。

債務不履行に因り損害の生じた場合、財産上であると精神上であるとに拘りなく、

これを賠償すべきものであることは、大審院判例(大正四年(オ)第一七二号、大

正五年一月二〇日判決、民録二二輯四頁)の示す所であつて、遽にこの判例を改め

る要はない。而して原判決並にその引用する第一審判決判示の事実関係より原判決

が、上告人の本件契約不履行に因り上告人に精神上の苦痛を生じたものであり、そ

の苦痛は「当然これを予見し得たものと認めるのが相当」であり、五万円を以つて

慰藉せられる程度である旨判断して居り、その判断は相当として是認し得られる。

しかも原判決は、本件契約不履行に因り既に被上告人に精神上の苦痛を与えること

が予見せられて居つたと判断して居るものではなくして、そのことが予見し得られ

たるべき場合であると判断して居るのである。また原判決は、被上告人の精神上の

苦痛についても、上告人の本件契約不履行に因る営業所不安定のためひき起された

ものであり、財産的損害の賠償のみによつては慰藉せられるものと考えられないも

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のである旨説明し、これを慰藉し得る金額を前述の如く定めて居るのであるから、

所論の「範囲を判示」して居るものとなすべきである。原判決に所論の如き欠陥を

見出されない。

論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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