大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)1129 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人佐藤武夫、同保津寛、同長尾悟の上告理由第一点について。

論旨は、原判決が、保険募集の取締に関する法律一一条による保険会社の損害賠

償責任につき民法七二二条二項の過失相殺の規定を適用したのは、法令違背である

というにある。しかし、右規定による保険会社の責任は民法七一五条の使用者の責

任と異別のものであるとする理由がないので、この点についての原判決の判断は正

当であつて、所論法令違背の主張は採用できない。所論は、要するに、独自の見解

に立脚して原判決における正当なる判断を非難するに過ぎない。論旨は理由がない。

同第二点について。

論旨は、原判決が本件損害の発生について上告人らの先代Dにも相当過失があつ

たと認定したのは、経験則に違背した認法の認定であるというにある。しかし、原

判決の認定した事実関係によれば、本件損害の発生について上告人らの先代Dにも

相当過失があつた旨の原判決における認定を首肯できるから、所論経験則違背の主

張は採用できない。所論は、要するに、原審の裁量に委ねられた証拠の取捨判断な

いし原判決において適法になした事実の確定を非難するに過ぎない。論旨は理由が

ない。

同第三点について。

論旨は、原判決が、保険募集の取締に関する法律一一条による損害賠償の額の算

定につき被害者たる上告人らの先代Dの過失を斟酌したのは、大審院判例に反しか

つ違法であるというにある。しかし、原判決の認定した事実関係の下においては、

右Dに相当な過矢があり、該過失によつて加害者EことFの本件不法行為を助成し

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かつ右Fの不法行為と相俟つて原判示損害を生ぜしめたことを是認できる。しから

ば、原判決において本件損害賠償の額の算定につき右Dの過失を斟酌したことは、

公平の見地からして正当であり、原判決には所論の違法はない。また論旨引用の大

審院判例は事案を異にし本件に適切でない。論旨はすべて理由がない。

同第四点について。

論旨は、原判決が本件損害賠償額を二分の一に軽減したのは、違法であるかもし

くは審理不尽、理由不備であるというにある。しかし、民法七二二条二項の過失相

殺は裁判所の裁量に委ねられている事項に属するから、事実審裁判所は被害者の過

失を適法に認定した以上、該過失を斟酌するや否およびいかなる限度において斟酌

するかは、職権を以てなすべき事項である。されば、原判決において被害者Dに相

当の過失のあることを認定した上で、公平の原則に従い、自由裁量により該過失を

斟酌して本件損害賠償額を二分の一に軽減したことについては、何らの違法がない

といわなければならない、のみならず二分の一に軽減したことについては判決理由

中特に説明を要するものではないから、所論違法の主張はすべて採用できない。ま

た論旨引用の大審院判例は本件に適切でない。所論は、要するに、原審の裁量に委

ねられた事項を独自の見解に基ずいて非難するに過ぎない。論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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