大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)474 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人江川甚一郎の上告理由第一点について。

記録を調べてみると、上告人は一審における昭和二九年四月一七日の口頭弁論に

おいて、同月一四日付答弁書補充申立書に基き「上告人先代Dは昭和二四年一〇月

二八日頃E、Fに対し本件土地、家屋を担保として他から金員借用方の斡旋を依頼

し、Fに対し金借に必要な書類作成のためDの印鑑を預けたこと、その結果その頃

同人は訴外Gから金円を借受けることができた」旨の上告人に不利益でないともい

えない事実を先行的に陳述したが、その後相手方たる被上告人において右の事実を

援用したり、これを認めたりした事跡の窺えない同三二年一一月二一日の原審口頭

弁論の冒頭において、上告人は同日付準備書面を陳述して右の主張を訂正撤回した

ところ、被上告人はその直後において上告人の右訂正に異議を述べ、上告人の訂正

前の右主張事実を援用する旨述べたこと(記録三四五丁裏)が明らかである。上告

人は自己に不利益な陳述をしたとしても相手方である被上告人においてこれを援用

しない前には何時でも訂正できるし、訂正後は上告人に不利益な陳述があつたもの

とはいえないからたとえ被上告人が、訂正前の上告人の右の陳述を援用しても、上

告人に先行的自白があつたものではない以上、上告人が先行的自白を取消したとか

撤回したということはできない。けれども、本訴において被上告人は、本件家屋は

もと上告人先代のDの所有であつたが、同人からGに、ついで被上告人に売渡され

たことを主張し、予備的の請求原因として、本件家屋は右Dの表見代理人E、同F

から右Gを経て被上告人に売渡された旨主張したことは記録並びに原判決及び一審

判決の事実摘示から明らかであるところ、原審は証拠上適法に、Dは本件家屋(及

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びその敷地)を原審判示のように買戻条件付で売渡し、Gを経て被上告人が所有権

を取得したこと、上告人は本件家屋を占有するについて被上告人に対抗できる正当

な権原を有しない事実を確定しているものであつて、所論の点は原判決の結論に影

響がないところといわなければならないから論旨は採用できない。

同第二点について。

論旨は結局原審の認定していない事実を前提として原審のなした事実認定を単に

非難するに帰し採用できない。

同第三点について。

所論は独自の見解を前提として原判決を非難するに帰し採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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