大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(あ)2076 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理 由

弁護人西岡光子の上告趣意は後記のとおりである。

職権をもつて記録を調べてみると、原審は、被告人の犯罪事実の存在を確定しな

いで被告人に無罪を言い渡した第一審判決を破棄し、自ら罰金一万円の判決を言い

渡したのであるが、その審判はいわゆる書面審理に止まり事実の取調をした形跡が

ない。このような手続は刑訴四〇〇条但書の解釈上許されないことは当裁判所の判

例(昭和二六年(あ)二四三六号同三一年七月一八日大法廷判決、集一〇巻七号一

一四七頁、昭和二七年(あ)五八七七号同三一年九月二六日大法廷判決、集一〇巻

九号一三九一頁。昭和三一年(あ)三一八五号同三三年二月一一日第三小法廷判決、

集一二巻二号一八七頁。)とするところであるから、この点において原判決は違法

であり、破棄を免れず、なお事実の取調を行うため本件を仙台高等裁判所に差し戻

すを相当とする。

よつて、上告論旨について判断することを省略し、同四一一条一号、四一三条に

より裁判官垂水克己の後記少数意見あるほか裁判官全員一致の意見で主文のとおり

判決する。

裁判官垂水克己の少数意見は次のとおりである。

刑訴法四〇〇条但書は第一審判決が公訴にかかる犯罪事実の証明がないとして無

罪を言い渡した場合でも、控訴裁判所が口頭弁論を開いてこれに基き判決する以上、

訴訟記録および第一審で適法に取り調べた証拠能力ある証拠のみによつて犯罪事実

を確定し有罪判決を言い渡すことができるのである。多数意見の如き理由により原

判決を破棄し差し戻すべきではない。私見の詳細は昭和三一年(あ)三一八五号同

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三三年二月一一日第三小法廷判決(集一二巻二号一八七頁)における私の少数意見

に同じである。

検察官 上田次郎出席

昭和三五年五月三一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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