大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(あ)914 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人内水主一の上告趣意第一点について。

所論は違憲(二一条違反)を主張するけれども、新聞報道のための取材活動の自

由といえども、無制限のものではなく、公共の福祉や特定人の正当な利益を不当に

害することは許されないこと、当裁判所の判例(昭和二九年(秩ち)一号同三三年

二月一七日大法廷決定刑集一二巻二号二五三頁)の趣旨とするところである。原判

決は、新聞編集者たる被告人の所論掲載記事の取材調査なるものは、実は、新聞記

事掲載に藉口せる判示恐喝の手段として、相手方を畏怖困惑させる意図で行つたも

のと認定してその恐喝行為を違法としているものであること、その判文自体の示す

とおりであつて、かかる恐喝行為につき罪責を問うことが、所論憲法二一条に違反

するものでないことは、前記判例の趣旨に照らしてみて明らかである。論旨は理由

がない。

同第二点について。

所論は違憲(二二条一項違反)を言うけれども、原判決は、Aなる日刊新聞の編

集兼発行を営む被告人が、原判示の如く投資を受ける名目の下に、他から金員等を

喝取した事実を認定処断しているものであつて、所論の如く相手方から任意に被告

人の新聞経営に対する投資を受けたものとしているのではないから、所論は事実誤

認の主張を前提として違憲をいうに帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第三点について。

被告人に対する二個の恐喝罪、一個の脅迫罪の公訴事実につき、各恐喝罪につい

てはいずれも無罪、脅迫罪については有罪として罰金一〇、〇〇〇円の言渡をした

一審判決に対し、検察官より右無罪部分につき控訴の申立があり、有罪部分につい

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ては、被告人からも検察官からも控訴の申立なくして期間経過により確定したもの

であること、並びに右検察官控訴に係る原審が、前記二個の恐喝罪の公訴事実につ

き有罪とする破棄自判の判決を為し、その理由中の法律の適用において、曩に確定

した前記脅迫罪との関係で刑法四五条後段、五〇条の適条を示していないことは所

論のとおりであるけれども、所論引用の当裁判所昭和二八年(あ)一九三号同三〇

年二月一八日第二小法廷判決(刑集九巻二号三三二頁)の示すとおり、刑訴四〇五

条にいう「判例と相反する判断をした」というためには、その判例と相反する法律

判断が原判決に示されているのでなければならない。しかるに本件は、前記刑法四

五条後段、五〇条の適用の結果確定裁判の前後に分れる犯罪を生じ二個の主文を言

渡すべきこととなるため特にこれを引用する必要がある場合ではない。かかる場合

においては、原判決が右四五条後段、五〇条の如き刑法総則的規定を適条に明示し

ていないからといつて(刑法四五条後段の併合罪と同五〇条の適用を判示すること

は必らずしも必要でないとする昭和二六年(れ)第一二三一号同年九月一八日第三

小法廷判決参照。)所論引用の大審院判例や当裁判所第二小法廷決定に相反する判

断を示しているものとはいえない。それ故、判例違反ありとの論旨は採るを得ない。

同第四点、第五点及び第六点の論旨は、いずれも事実誤認または単なる訴訟法違反

の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三六年五月二三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 垂 水 克 己

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裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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