大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)1054 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡井藤志郎の上告理由第一、二点について。

判決における当事者の主張事実の摘示は、争点につき事案を判断するに必要なる

限度でその要点を摘録すれば足りるもので、必ずしも主張に係る総ての事実をその

まま逐一記載することを要しないものであるところ、原判決の事実摘示が、本件事

案を判断するについて必要なる限度において争点を摘録していることはその記載に

徴し明白であるから、この点についての所論主張は採用できない。次に、原判決は、

挙示の証拠によつて、原判示司法警察職員らが上告人に対する原判示逮捕状の請求

をなすに至るまでに蒐集した資料によれば上告人が本件放火を犯したことを客観的

に疑うに足りる相当な理由があるから、右司法警察職員らには上告人を逮捕したこ

とにつき故意過失があつたものと見ることができない旨、認定判断し、上告人の所

論主張をすべて排斥して上告人の本訴請求を容れなかつたものであることは、原判

文上明らかである。そして、原判決の右認定判断は、証拠関係に照らし社会通念上

首肯するに難くない。されば、所論憲法違反の主張は、いずれも、原判決を正解せ

ざるか、もしくは、原判決の認定に副わない事項に立脚するもので、すべてその前

提を欠き採用できない。論旨は、要するに、原審の裁量に委ねられた証拠の取捨判

断ないし原判決において適法になした事実の確定を非難するに帰し、その他の所論

もすべて採用するに由ない。

同第三点について。

原審が所論のように昭和三三年一一月二九日口頭弁論を終結し、判決言渡期日を

昭和三四年一月一九日と指定したが、その後右言渡期日を数回にわたり変更して同

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年六月一五日午後一時に言渡をなしたことは記録上明らかであるところ、右基本た

る口頭弁論に関与した裁判官白井美則が所論のように同年四月二〇日大阪地方裁判

所に転任したとしても、これにより同裁判官が原判決の評議に加わらなかつたもの

と速断することはできず、むしろ同裁判官の転任前に同裁判官も加わつて評議を了

し、判決は成立していたが、その原本が完成しなかつたために言渡期日の変更があ

つたものと認めるのが相当である。次に、原審の昭和三四年六月一五日午後一時の

判決言渡調書には「裁判長は判決原本に基いて主文を朗読し判決を言渡した」と明

記されているから、右判決正本が上告人に送達された日が同年八月一一日であるこ

とは記録添付の送達報告書により明らかであるが、右調書の記載に反する口頭弁論

の方式に関する事実を主張する所論は、民訴一四七条により採用できない。論旨は

すべて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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