大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)219 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人多田紀の上告理由第一点について。

原判決は、本件建物の所有権が上告人(控訴人)に属することを認めた上、上告

人と被上告人(被控訴人)との関係について、(1)被上告人は上告人の長兄であ

る夫Dに嫁してから今日に至るまで二十数年間本件建物に居住し、夫に死別后は日

傭稼によつて亡夫の父母及び子供等一家の生計を支えて来たこと、(2)被上告人

は結婚以来現在に至るまで他郷に出たことなく本件建物に拠つて生活を営んで来た

のであり、格別の財産もなく家屋を新築して転居するが如きことは到底望めない実

情にあること、(3)一方上告人は倉吉市に居を構えて事業を営んでおり、本件建

物を処分しなければならない程さし迫つた必要も認められないにかゝわらず、本件

建物が、被上告人の長男Eに相続されるものとの被上告人の期待に反し、上告人に

贈与されその所有権移転登記が完了すると、直ちに上告人は被上告人に対し本件建

物を売却する必要があるとして、これを明け渡すよう執拗に要求し、建物の建具、

天井板の一部を取り外す等の暴挙に及んだこと、(4)被上告人の勝訴に確定して

いる、同人に対する上告人の金銭債務の履行もなさずして本件建物の明渡を求めて

いることを認定し、かゝる事情の下における上告人の義姉である被上告人に対する

本件建物明渡の請求は、権利の濫用であり許されないものというにあり、所論の如

く単純に「自らの債務の履行をせずして家屋の明渡を求めるのは権利の濫用である」

としているのではない。原審の判断は相当であり、論旨は採用できない。

同第二点、追加第一点(一)、追加第二、第三点について。

原判文の全趣旨に徴すれば、論旨は、何れも原審の認定に副わない事実を前提と

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するものであつて採るをえない。

同追加第一点(二)、(三)、(四)について。

論旨は、事突認定の非難ないし証拠の取捨判断を争うものに帰するものであり採

用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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