大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)23 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡田政司の上告理由第一点について。

本件記録によれば、上告人は本訴請求の原因として「上告人は昭和二九年九月二

七日当時訴外Dに対し金三九六、五〇〇円の債権を有していたが、Dはその頃被上

告人に対し本件浴場を売り渡し、七、三〇〇、〇〇〇円の代金債権を取得した。上

告人は、申請により、金三九六、五〇〇円の範囲で右代金債権について差押命令、

転付命令を得、右命令は同日被上告人およびDに送達された。すなわち、上告人は、

右転付命令により、右の範囲で代金債権を取得したことになる。」と主張して、被

上告人に対しその範囲内で金三三三、〇〇〇円およびこれに対する損害金の支払い

を求めたこと、被上告人は、まず、本件浴場の買主でないこと、予備的に、買主で

あるとしても、その代金は本件差押命令送達前支払ずみであることを主張して請求

の棄却を求めたことが明らかである。このような場合には、被上告人の防禦方法が

二個あるだけで、訴は一個であるこというまでもない。したがつて、第一審判決が

右代金債権は、転付命令送達当時、すでに弁済により消滅していたことを理由とし

て本訴請求を排斥したのに、原審が被上告人は本件浴場の買主ではないとして本訴

請求を排斥し、上告人の控訴を棄却したからといつて、原審が上告人主張の債権の

有無について審判したことには変りはないから、所論のように、原審が上告人の控

訴しない事項について第一審判決を変更したものということはできない(最高昭二

三・一〇・一二、三小判、民集二巻三六五頁参照)。論旨は右と異なつた見解を前

提として原判決を非難するものであつて理由がない。

同第二点について。

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本件浴場の買主は訴外Eおよび同Fである旨の原審の認定は、原判決挙示の証拠

により、肯認しえないことはない。所論は、ひつきよう原審の専権に属する証拠の

取捨判断ないし事実の認定を非難するに帰し、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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