大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)433 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人石黒武雄、同河野曄二の上告理由第一点および第三点について。

原審がした所論事実認定ならびにこれに基く判断は、原判決挙示の証拠により肯

認しうる。所論は、原判示にそわない事実を前提として、原審の裁量に委ねられた

証拠の取捨判断ないし事実認定を非難するにすぎないものであり、また所論(第三

点)釈明権行使に関する主張はその前提を欠くものであつて、採用するを得ない。

同第二点について。

原審が適法に確定した事実によると、訴外Dは、その債務のため強制執行等を受

けることを恐れ、義兄である上告人と協議のうえ、昭和三一年一一月九日、かねて

同人に対し負担していた債務のため本件不動産を上告人に譲渡することとし、その

売渡証の日を遡らせて本件登記手続を経由するに至つたものと推認するに十分であ

るというのであるから、大審院判例を挙示しての所論善意推定の主張は、その前提

を欠くものであり、上告人がその悪意なかりし旨の抗弁の立証がない以上、右抗弁

を理由なしとして排斥した原審の判断は正当として是認しうる。また論旨は、不動

産の場合において、既存登記義務の履行として登記をなすも詐害行為とならない旨

主張し、大審院判例を援用するが、右判例は右登記義務が保全債権の成立前に発生

したことを前提とするところ、原審の認定によると、上述のように、上告人とDと

の間の本件不動産についての売買契約は本件被上告人の保全債権成立後である昭和

三一年一一月九日に至つて初めて締結されたというのであるから、所論はその前提

を欠くものである。論旨は、いずれも採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

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おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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