大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)580 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人瓜谷篤治の上告理由第一点について。

論旨は、原判決は本件賃料の催告期間以前に控訴人(上告人)が被控訴人(被上

告人)に対して有する反対債権をもつて賃料債権と対当額につき相殺する旨の意思

表示をしたことは控訴人(上告人)の主張しないところであると判示しているが、

控訴人(上告人)は控訴状に「昭和三元年一一月二八日付内容証明郵便を以つて(

中略)本件家賃金を相殺すべき意思表示をなし云々」と記載し、上告代理人は原審

口頭弁論においてその旨陳述しているのであるから、原審が右相殺の点につき控訴

人(上告人)より主張がなかつたと判示したことは争のある事柄について判断をな

さなかつたもので審理不尽、理由不備の違法があり、原判決はこの点において破棄

を免れないと主張する。

記録を調べてみると、控訴状の「事件の関係欄」には論旨で指摘するような記載

があり、右控訴状の事件の関係欄は昭和三二年一二月六日の原審第一回口頭弁論期

日において陳述されており、従つて所論相殺の事実主張がなされていることは所論

のとおりである。そして、その後の口頭陳述でこの主張が訂正ないし撤回された形

跡のないことも記録上明らかである。されば原審は右主張の当否を判断すべきであ

つたにかかわらず、論旨にいうように上告人が反対債権をもつて賃料債権と相殺す

る旨の意思表示をしたことは、上告人の主張立証しないところであるとしてこの点

に関する上告人の主張を排斥したことは、当事者の主張に対する判断を違脱した違

法があり、この違法は判決の結論に影響を及ぼすものといわなければならない。

よつて、同代理人のその余の論旨及び上告人本人の論旨に対する判断をなすまで

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もなく原判決を破棄すべきものと認め、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一

致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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