大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)590 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人滝沢寿一の上告理由第一点について。

原判決の引用する一審判決は、被上告人が訴外Dから本件手形の裏書譲渡を受け

たのは訴訟を主たる目的とするものと認めるに足りる証拠がないと判断した趣旨と

解すべきであるから、原判決には所論の違法はない。論旨は、結局、原審が適法に

した証拠の取捨判断ないし事実の確定を非難するに帰し採用できない。

同第二点について。

原判決の引用する一審判決は、同判決認定事実からは、ただちに、上告会社の社

長印を被上告人が当時の上告会社常務取締役Eに交付すれば、右Eにおいて該社長

印を悪用して上告会社の銀行預金の払戻を受けて自己の用途に費消するというよう

なことが、被上告人の当然予見することを得べかりし結果であるとか、あるいはこ

れを予見しなかつたことは被上告人の不注意にしてその過失である、ということを

いいえないし、また他にこれを肯定するに足りる証拠もない旨判断しているのであ

り、右判断は首肯できるから、右判断には所論の違法はない。論旨は、結局、原審

が適法にした証拠の取捨判断ないし事実の確定を非難するに帰し採用できない。

同第三点について。

被上告人は本件手形につき期限後裏書を受けたものであることは所論のとおりで

あるけれども、原判決は、上告人Aの主張する悪意の抗弁を排斥しただけで、所論

のように被上告人のいわゆる善意取得を認めているわけではなく、また、右Aが本

件手形につき手形保証をするに当り、上告会社代表取締役Dが同人に対し返済資金

のあてもあり、絶対に迷惑をかけないといつたことを被上告人において熟知してい

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たからといつて、それだけで、ただちに、被上告人は本件手形所持人となつても同

上告人に対し手形上の請求をすることができないものと解すべき理由もないことは、

原判決において説示するとおりであつて、上告人Aの悪意の抗弁を排斥した原判決

には何ら違法はない。されば論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、九三条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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