大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)672 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人増田弘の上告理由第一点について。

原判決において、本件農地売渡計画は初めはC1を売渡の相手方とする売渡計画

が決議されたが、その後売渡の相手方を被上告人らとすることに変更決議された旨

の事実を認定しているものではなく、本件農地売渡計画は当初から被上告人らを売

渡の相手方として決議決定された旨の事実を認定しているものであることは、原判

文上看取するに難くない。そしてまた原判決挙示の証拠およびこれら証拠により原

判決の認定した事実関係を綜合すれば、原判決における右認定を肯首するに難くな

い。論旨は、ひつきよう原判決を正解しないかもしくは原判示に副わない事項に立

脚して原判決の適法になした事実の確定を論難するに帰し、理由がない。

同第二点について。

本件訴訟は「昭和二三年七月二日付売渡計画に基き被上告人らに交付した売渡通

知書はこれを取り消し、失効させたから通知する」旨の昭和二六年三月一九日付通

知が取消訴訟の対象となる行政処分に当るものとして、その取消を求めるものであ

つて、右通知がいわゆる抗告訴訟の対象となるべき行政処分の性質をもつものであ

るかどうかは、一の法律問題として裁判所が判断すべきこと当然であり、裁判所が

これを判断したからといつてなんら三権分立の原則に戻るものではない。論旨は独

自の見解に基ずく主張であつて理由がない。

上告人補助参加代理人坂吉兵衛の上告理由第一点の(1)について。

原判決は、挙示の証拠によつて、本件農地は多年上告人補助参加人C1が該土地

の所有者Dから賃借して耕作して来た小作地であつたが、C1の居宅より距離が遠

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く耕作に不便であつたので、昭和二三年二月頃、附近に耕作地のあつた上告人補助

参加人C2と耕作地を交換することを約したところ、C2において交換契約を実行

せずC1の右旧耕作地をC2自身の従前の耕作地と併せて自ら耕作しようとする態

度が見えたので、C1はこれを快しとせず、本件農地に対する右C2の耕作を阻止

するため、同年三月一〇日、居村a村農地委員会に右農地に対する耕作権放棄の承

認を求める旨申し出で、地主Dにおいてもその頃これを承認し、本件農地の賃貸借

を解約した旨の事実を認定しており、右認定は挙示の証拠に照らし首肯するに難く

ない。されば所論は原判決において適法になした事実の確定を非難するに帰し採用

できない。

同第一点の(2)について。

原判決は、原判示のような状況の下においては、C1を売り渡すべき本件農地の

第一順位の売渡の相手方としなかつた点について、関係行政庁の処分にこれを無効

ならしめるような重大かつ明白な瑕疵があつたものとは認め難い旨判断しており、

右判断は原判示に徴し相当である。そして、所論耕作権放棄の申出は錯誤によるも

のであるから、これが撤回の申出をなしたとの事実は、原判決においてその存在を

否定していることは、原判文上看取するに難くない。されば原判決には所論判断遺

脱、理由不備の違法はない。

同第一点の(3)について。

かりに自作農創設特別措置法施行令一八条一号の規定により売渡の相手方たる資

格を有する者を同条二号による有資格者と誤認して売渡処分がなされたとしても、

客観的に正当な有資格者に売渡処分がなされたことには変りがないのであるから、

かかる瑕疵は行政処分取消の原因となるいわれなく、いわんや当然無効の原因とな

るものではない。所論本件農地売渡は重大かつ明白なる当然無効の行政処分である

との主張は理由なく、原判決には所論理由不備、法令違反の違法はない。

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同第一点の(4)について。

原判決は、挙示の証拠およびこれによつて認めえられる事実関係を綜合して、被

上告人らを売渡の相手方とする本件農地売渡計画が存在しなかつたものとは断定す

ることができない旨判断して、本件農地売渡については農地売渡計画を欠除する旨

の上告人らの主張を排斥していることは、所論のとおりである。しかし、原判決挙

示の証拠およびこれによつて原判決が認定した事実関係の下においては、原判決の

右判断を首肯するに難くなく、右判断はとくに正義に反し不合理であるとは到底認

めえない。所論は、要するに、原審の裁量に委ねられた証拠の取捨判断ないし原判

決において適法になした事実の確定を独自の見解に立脚して論難するに帰し、採用

できない。

同第一点の(5)について。

所論上告人C1が本件買収農地の賃借権者であるが、一時の故障により買収時期

にその耕作を中止していたとの事実は、原判決において認定していない事実である

から、右事実の存在を前提とする所論法令違反の主張は採用できない。所論は、要

するに独自の見解に基ずいて原判決において適法になした事実の確定を論難するも

ので、すべて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

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