大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)782 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人池添勇の上告理由第一点について。

上告人は、原審の訴訟手続には、民訴一三九条により却下すべき被上告人の防禦

方法を却下しなかつた違法および自白の効力に関する法則を誤つた違法があると主

張する。しかし、上告人が第一審で本件手形の受取人はDことEであると主張した

こと、上告人が原審第二回口頭弁論期日にこの主張を撤回し、新らたに本件手形の

受取人はDことFであると主張したこと、被上告人は同弁論期日にこの主張を認め

るとともに、裏書の連続を欠くから上告人は適法の所持人とみなすことができない

との抗弁を提出したことは、記録上明らかである。とすれば、被上告人の右抗弁は

時機に遅れて提出されたものとはいいがたく、被上告人は上告人の原審における主

張を自白しているが、この自白が第一審における被上告人の自白と異なるからとい

つて、自白の撤回と解することはできない。したがつて、原判決には所論の違法は

なく、論旨は採用できない。

同第二点について。

上告人は、原審の訴訟手続には判決に影響を及ぼすべき著しい釈明権の不行使が

あると主張する。しかし、原審は本件手形に受取人として表示されているDが訴外

Fの商号であること、本件手形を上告人に裏書譲渡した者は訴外Eであること、E

はFの使用人であることを確定しており、右事実によれば、本件手形の記載上、受

取人と第一裏書人とが同一性を欠くことは明らかである。そして、EがFの代理人

として裏書したものであることについてはなんら主張、立証がないのであるから、

原審が所論の事項について釈明する必要のないことは当然である。所論は、ひつき

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よう独自の見解に立脚して、原判決手続に所論の違法あるごとくいうものであるか

ら、採用できない。

同第三点について。

所論は、原判決には理由のくい違いがあると主張する。しかし、原判決のうち所

論摘示の部分は、控訴人が被控訴人の主張するとおりの手形を振出したと記載すべ

きところを誤つて記載したものであること、原判文の趣旨から見て極めて明らかで

ある。したがつて、原判決に影響を及ぼすような所論の違法はなく、論旨は理由が

ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 土 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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