大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(あ)786 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人上月一男の上告趣意第一の(一)について。

所論は判例違反をいうが、論旨引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、所

論の実質は独自の見解による単なる法令違反の主張で、上告適法の理由とならない。

同第一の(二)は判例違反を主張するが、引用の判例は、事案を異にし本件に適

切でなく、所論は単なる法令違反の主張にすぎず、上告適法の理由とならない。(

所論海議連月報は、第一審の準備手続(昭和三〇年四月二日)において、被告人A

の弁護人はこれを証拠とすることに同意し、同三〇年一〇月二七日の第一四回公判

で適法に取調べられている。)

同第二について。

所論は事実誤認の主張で、上告適法の理由とならない。(原判決の援用する第一

審判決挙示の証拠によれば、本件造船法一部改正案の骨子が、原判示のとおりであ

ることを明認することができ、所論の事実誤認は認められない。)

被告人Bの弁護人林逸郎の上告趣意第一点について。

第二審訴訟記録の各表紙及び各公判調書における被告人Bに関する件名の表示と

して何れも起訴状、第一審の公判調書、判決に記載されていた「収賄」(単純収賄)

の記載を欠いていること所論のとおりであるが、しかし、右は記載の遺脱であるこ

と記録の他の記載に徴しても明らかであるから、原審が同被告人の右犯罪事実につ

き審理しないで判決した違法があるとの所論は前提を欠き採ることができない。(

弁護人が刑訴五一条に基づき所論公判調書の記載に対する異議を申立てた事跡は記

録上認められない。従つて所論違憲の主張もその前提を欠き採用できない。)

同第二点について。

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原審第九回公判調書に被告人Bに関し「単純収賄」の件名の記載を欠くが右は遺

脱であること前点説示の通りであり右遺脱の故をもつて、所論のように右単純収賄

の点につき、裁判が宣告されていないということはできない。右公判調書と編綴に

かかる原判決原本とを対照すれば原審が所論の点についての犯罪事実の認定に関し

ても裁判を宣告していることは、明らかであるから、所論違憲の主張は前提を欠き、

所論はすべて採用できない。

同第三点について。

所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反及びこれらを前提とする違憲の主張で、す

べて適法な上告理由に当らない。(第一審判決挙示の証拠によれば、所論共謀の事

実を優に認めることができる。)

同第四点について。

原判決の是認する第一審判決は、所論の点につき、論旨引用の各判例に牴触する

判断を何等示していないから、判例違反の主張は前提を欠く。その余の論旨は、被

告人Bが国家公務員法違反の犯行を共謀したことがないという事実誤認及びこれを

前提とする単なる法令違反の主張で、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第五点について。

原判決の支持する第一審判決は、被告人Bに対し、同人が第一審相被告人Cの国

家公務員法違反の所為につき共謀加功した事実を認定し、これに基づき論旨引用の

法令を適用したものであつて、何ら被告人Bに犯罪行為がないのに同被告人がただ

衆議院議員候補者であるの故をもつて同人を処罰したものでないことは判文上明白

である。所論は判決を正解せずして違憲をいうもので、前提を欠き採用するに足ら

ない。

なお、第一審判決は、一般職に属する国家公務員たる身分を有するCが特定の候

補者を支持する目的をもつて寄附金を受領するというCの同法一〇二条一項違反の

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所為につき、その身分のない被告人Bを共謀加功者として処罰したのであるが、こ

の場合、Cが支持しようとした特定候補者が偶々被告人Bであるとしても、そのこ

とは何等同人等の罪責に消長を来さない。所論は、右判決の法令違反をいうが、独

自の見解にすぎず、論旨はすべて採用できない。

同第六点について。

論旨は、違憲、違法をいうが、所論Cの検察官に対する供述調書が強制、拷問等

に基づく不任意のものと疑うべき資料は記録上見出されないから、所論は前提を欠

き採用できない。

同第七点について。

所論は、事実誤認及び単なる法令違反の主張で、適法な上告理由に当らない。(

所論受託収賄の事実は、原判決の支持する第一審判決挙示のD、Eの検察官に対す

る各供述調書その他挙示の関係証拠によりこれを肯認することができる。)

同第八点について。

所論のD、Eの各供述が強制、誘導等に基づく不任意の疑いあるものと認められ

ないことは、第一、二審判決説示のとおりである。従つて所論違憲の主張は前提を

欠き、適法な上告理由に当らない。

同第九点について。

所論は、事実誤認及び単なる訴訟法違反の主張で、上告適法の理由とならない。

(被告人Bが、金二〇万円を第一審判決判示の日時場所、すなわち昭和二八年八月

下旬頃F海運本社でDから収受した事実は、挙示の証拠により原判決説示のとおり

これを認めるに足る。)

同第一〇点について。

所論は、事実誤認の主張で、適法な上告理由に当らない。(被告人Bの判示五万

円収受の事実は原判決の詳細説示するとおり、第一審判決挙示の証拠によつて優に

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これを認定しうる。)

被告人Bの弁護人日沖憲郎の上告趣意第一点について。

所論は、単なる訴訟法違反の主張で、上告適法の理由とならない。(同弁護人は

控訴趣意書第六点で、第一審判決が所論供述調書を採用したことにつき違憲を主張

したことは所論のとおりである。論旨は、原審が右主張に対する判断を遺脱したと

いうが、原判決は、右供述調書が誘導強制に基づく不任意の供述を記載内容とする

ものとは到底認め難い旨判断を明示していること判文上明らかで何ら所論の判断遺

脱はない。)

同第二点について。

所論Dの供述が強制に基づく不任意の疑いあるものと認められないことは、被告

人Bの弁護人林逸郎の上告趣意第八点につき説示したとおりであるから、所論違憲

違法の主張はその前提を欠き採用することができない。

同第三点ないし第五点について。

所論は、いずれも事実誤認の主張で、適法な上告理由に当らない。(右主張の採

用しえないことは、被告人Bの弁護人林逸郎の上告趣意第一〇点、第七点、第九点、

第三点につき説示したとおりである。)

被告人Bの弁護人大月和男の上告趣意第一点について。

原判決の支持する第一審判決は、所論受託収賄の点につき、何等論旨引用の判例

と相反する判断を示していないから、所論判例違反の主張は、前提を欠き、その余

の論旨は、事実誤認、単なる法令違反の主張で、すべて刑訴四〇五条の上告理由に

当らない。(第一審判決に所論の事実の誤認、法令違反のないことは原判決説示の

とおりである。)

同第二点について。

論旨は、原審の認定に副わない事実関係を前提として判例違反を主張するもので

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前提を欠き、上告適法の理由とならない。(原判決の支持する第一審判決認定の事

実関係の下では、被告人B、C両名共謀による判示寄附金受領の所為が国家公務員

法一一〇条一項一九号、一〇二条一項、人事院規則一四―七 五項一号 六項三号

に該当するとした同判決の判断は正当である。)

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のと

おり決定する。

昭和三八年一〇月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

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