大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)1 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を札幌高等裁判所函館支部に差し戻す。

理 由

上告人の上告理由について。

双務契約において当事者の一方は相手方がその債務の履行を提供するまでは自己

の債務の履行を拒み得ることは民法五三三条の規定するところであつて、このいわ

ゆる同時履行の抗弁は、当事者の一方が、かつて履行の提供をしたことがあつても、

その提供が継続されていない限り、相手方において右抗弁を主張し得るものと解す

るを相当とする。しかるに、原審が、被上告人は、かつて本件オート三輪車を提供

して、上告人を受領遅滞に付した旨を認定しただけで、そのことからたやすく上告

人の同時履行の抗弁を排斥して、被上告人の本訴請求を認容したのは、原判決には、

民法五三三条の同時履行の抗弁に関する解釈を誤り、ひいては本件オート三輪車の

履行の提供が継続されていたかどうか、また本件売買契約の目的物の引渡について

分割履行が許されるかどうか、およびオート三輪車だけの履行の提供を欠くことに

より残代金の請求につき同時履行の抗弁権を認めることが信義公平の理念に反し社

会通念上不当であるかどうかなどについて審理判断を尽さない違法があるものとい

わなければならない。従つて、論旨は理由があるから、原判決を破棄し、さらに審

理、裁判をなさしめるため、本件を原裁判所に差し戻すのが相当である。

よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 橋 潔

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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