最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)1285 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人岩間泉の上告理由第一点について。
論旨は、上告人は原審において書面に基き本件建物はDからE、F、Gの三名に
贈与されたもので右三名の共有に係るものであることを主張したにかかわらず原審
はこの点について判断を遺脱したので原判決には理由不備の違法があると主張する。
しかし、原審口頭弁論調書を調べても所論書面は口頭弁論において陳述された事
跡がないので、原審が所論の主張について判断を与えなかつたのは当然であり原審
の手続に違法はない。
同第二点について。
論旨は、原審は所論準備書面の提出があつた以上、釈明権を行使してこれが陳述
をなさしめ立証を尽させるべきで原審にはこの点につき審理不尽の違法があると主
張する。
しかし、上告人は原審において、被上告人の所有権取得の原因事実につき、原審
判決引用の第一審判決摘示のとおり全面的に消極否認をした上、更に同摘示の如く
Dの死亡に因る相続によつて同女の養女Hに本件家屋の所有権が移転したことを以
て積極否認の主張をしているのであるが、所論共有に関する主張は被上告人の主張
する所有権の単独取得に対する積極否認の主張と解せられるところ、前示判決摘示
の主張に加えて更にこれを主張することは、事案判断に重要な事項の主張をなすも
のとは考えられない。してみれば、所論準備書面の陳述をなさしめなかつたことに
釈明不完は存しない。されば原審には所論の違法はない。
同第三点について。
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論旨は、原審の専権たる証拠の取捨を非難するにつきる。所論の証拠を彼此対比
検討しても所論の如き実験則違背は見当らない。又判文上理由そごは存しない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 高 橋 潔
裁判官 石 坂 修 一
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