大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)1315 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人江口新の上告理由第一点について。

上告人は、原判決は弁論主義を無視しかつ審理不尽の違法があると主張するけれ

ども、被上告人において原判示の字ab番のcの山林が被上告人の所有でなくその

長男Dの所有である旨主張していることは記録上明らかであり、原判決の引用する

一審判決の事実摘示にもその旨の記載があるから、所論のような違法はない。所論

は、原判決を正解せず、その前提を欠くものであつて、採用することができない。

同第二点について。

自己の権利を否認する者に対し権利の確認を求める訴を提起する場合において、

確認を求める法律上の利益があるといえるためには、被告が当該権利が自己に帰属

する旨主張することによるとこれを第三者の権利である旨主張することによるとを

問わず、被告において原告の権利を否認する結果、原告の権利者としての地位に危

険、不安定等なんらかの不利益を及ぼす虞が現に存在する場合であることを要する

ものと解すべきである(昭和三〇年(オ)第五四四号、同三五年三月一一日第二小

法廷判決、民集一四巻三号四一八頁参照)。本件についてみるに、原審は、原判示

のb番のcの山林が登記簿上被上告人(控訴人)の長男である訴外Dの所有名義と

なつていることは上告人(被控訴人)の認めるところであり、該登記に拘らず、真

実の所有者が被上告人であることを肯認するに足る適確な証拠がない旨判示した上、

被上告人は本件係争山林に対し法律上何らの利害関係をも有するものとは認められ

ないから、被上告人が上告人の所有権を争うからといつて、それにより上告人が何

らの不利益をこうむるものとは認め難く、被上告人を相手方として本件山林の係争

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部分が上告人の所有であることの確認を求める訴はその利益を欠くものであると判

断しているのであつて、右判断は正当として是認できる。所論は、右と異なる独自

の見解に立脚して原判決を非難するものであつて、採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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