大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)160 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人井上富造の上告理由第一点について。

所論A株式会社E営業所と称するものが上告会社のE営業所であるとの原審の認

定判断は、これに対応する原判決挙示の証拠により、是認し得られる。原審の判断

に所論の違法を見出し得ない。

論旨は、原審の否定した事実或は原審の認定しない事実を主張して原判決を攻撃

するかまたは原審の適法におこなつた証拠の判断、事実の認定を非難するかに外な

らない。

論旨は、これを採用し得ない。

同第二点について。

原審は、訴外Fが上告会社のため被上告会社と締結した本件売買契約につき、同

人に表見代理の成立することを認めるに当つては、単に、訴外Gの名刺に存する所

論表示によるだけでなくして、そのほか、右Fが上告会社の営業所長として上告会

社のためその製品の販売につき代理権を有して居つたこと、右E営業所の使用した

判示名称からは、その営業の範囲が特に販売に限定せられて居つて、購買が除外せ

られて居る趣旨を窺えなかつたこと、上告会社代表者Hが、右営業所開設に当り、

営業所長としての右F、営業所員としての右Gを伴つて被上告会社を訪ね挨拶した

際も、右営業所の営業範囲が販売に限定せられ、右Fの代理権に限制のある事実を

告げた迹のないこと、右営業所が昭和三一年九月二〇日まで「A株式会社」名義を

以つて株式会社Iに当座勘定を有して居つたこと、上告会社の営業品目である紅茶

は、相場の変動が激しく、価格の変動、在庫の多少等の関係より一時的に仲間取引

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の行はれる場合のあること等を認定した上、これ等の事情その他原判示の諸事情に

より、被上告会社において、右Fに本件売買につき上告会社を代理する権限あるも

のと信ずる正当の理由があるのであつて、本件売買における同人の代理権欠缺につ

き被上告会社の悪意または過失を認め得ない旨判示して居ること、判文上明白であ

る。而して、以上の原審の判断は、正当として是認し得られる。したがつて、原審

の判断及びそれに至る過程に、所論の違法はない。

論旨は、理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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