大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)504 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人青柳健三の上告理由第一点ないし第三点について。

本件所有権移転登記は、上告人被上告人間の金銭消費貸借の代物弁済予約による

所有権移転請求権保全の仮登記の本登記として登記せられたものであるが、原判決

は、控訴人(上告人)、被控訴人(被上告人)間に株券の消費貸借の代物弁済予約

契約を認定し、株券の消費貸借上の債務の代物弁済として本件建物の所有権が被控

訴人に移転した事実を確定したものであるから、前記仮登記には、被上告人の上告

人に対する所有権移転請求権の発生原因として、前記契約の内容と趣を異にする内

容の登記がなされたものであることは所論のとおりである。しかしながら、被上告

人は、前示のように上告人より本件建物の所有権を取得したものであり、また、前

記仮登記手続が上告人と被上告人の合意の上行なわれたものであること原判決の認

定するところであつて、本件所有権取得登記が右仮登記の本登記手続としてなされ

たものである以上、本件所有権取得登記は権利の実際に合致し、かつその登記手続

も上告人の意思に基くものであるから、上告人は被上告人に対し右登記の抹消登記

手続を求めることができないものといわなければならない。右と同趣旨の原判決は

正当であつて、原判決に所論の判断遺脱、法令違背、理由不備の違法がない。論旨

はすべて採用できない。

同第四点ないし第六点について。

原判決は、本件建物の価格が控訴人主張のように高額のものと判定することがで

きず、他方株式の時価は変動常なきものであるところから、本件代物弁済に関する

契約が控訴人の無知窮迫に乗じた暴利行為であると確認することができない旨判示

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し、もつて、株式の消費貸借上の債務につき本件建物の所有権を代物弁済とする旨

の契約が公序良俗に反する旨の控訴人の主張を排斥したものであること判文上明ら

かである。そして、原判決の右判断は、本件記録に徴し肯認できなくはないから、

原判決に所論の判断遺脱、法令違背、理由齟齬の違法がない。論旨はすべて採用で

きない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

昭和三八年四月二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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