大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)522 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人大家国夫の上告理由第一点の一について。

原判決は、所論のDが自動車の修理完了後は当該自動車を上告会社整備工場内で

試運転していた旨を認定したうえ、さらに、同人に修理自動車の試運転も許されて

いなかつた旨の証言は信用しえないとしたものであつて、右は、同人が(少なくと

も上告会社の暗黙の諒解のもとに)自己の修理した自動車の試運転をすることを常

態とした旨の説示と解することができ、原判決挙示の証拠によれば、これを首肯す

ることができる。それゆえ、上告会社において、とくに明示的にこれを許容したか

否は問うところでなく、論旨は採用できない。

同第一点の二および第二点の一について。

上告会社が自動車による旅客運送事業のほか、自動車整備事業を営む者で、所論

Dが上告会社に整備工として雇用され、同会社整備工場で自動車の修理に従事し、

その修理を完了したときは当該自動車を同工場内で試運転していたものであること

は、原審の確定するところであり、しかも同人が訴外E所有自動車の修理を引き受

けるに至つた経緯が原審説示のとおりである以上、右Dによる本件自動車の修理な

いし試運転の所為は、上告会社の事業および同人の職務の範囲内に属するこという

までもなく、原審がこれを目して上告会社の「事業ノ執行ニ付」なされたものとし

たのは当然である。右修理の引受が上告会社における受注手続に反し、また修理の

受注を取り扱わないa町営業所でなされたとしても、右は上告会社とDとの内部関

係における事柄にすぎず、同人の前記所為が上告会社の「事業ノ執行ニ付」なされ

たものと解する妨げとなるものではない。所論の原審判示も、結局これと同趣旨に

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出たものと解するのが相当であり、論旨はすべて採用し難い。

同第一点の三および第二点の二について。

原判示事実関係のもとにおいて、判示Eがその所有自動車をDに渡すに際し領収

書を徴収する等しなかつたことが過失にあたるといえないことは多言を要しない。

論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 河 村 又 介

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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