大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)839 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人A1の負担とする。

理 由

本件は、民訴七一条により同法六二条が準用される場合であるから、上告人A1

の被上告人に対する上告の申立は原審共同控訴人A2商事株式会社、同A3、同A

4製薬株式会社のためにも効力を生じ、同人らは上告人たる地位を取得したものと

解すべきである。

上告人らの上告理由第一点について。

上告人A1の参加請求中土地に関する部分が民訴七一条にいう「訴訟ノ結果ニ因

リテ権利ヲ害セラルヘキコト」を主張して提起されたものであることはその請求自

体によつて明らかであるが、これに対し、原審が該請求は参加の理由がないから、

これを不適法として却下すべきであるとした判断は正当である。所論は採用できな

い。

同第二点について。

原判文を正読すれば、被上告会社の訴外D株式会社に対する四、○○○万円余の

債権中原判示二、○○○万円の一部を弁済するため、訴外会社の代表取締役であつ

た上告人A1が被上告会社との間で本件家屋をその敷地たる原判示土地とともに被

上告会社に譲渡する旨を約し、土地につき昭和二九年五月一日、家屋につき同年一

一月二九日、それぞれ原判示登記を経由したと判示したものであること明瞭であり、

なんら所論理由不備の違法はない。所論引用の判例は本件に適切でない。

同第三、四、一〇点について。

原審は、挙示の証拠により、被上告会社は判示の経緯から昭和二八年九月二二日

頃、訴外D株式会社の代表取締役であつた上告人A1との間で、同会社に対する債

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権四、○○○万円につき右債権中二、○○○万円は一時支払を猶予して計算外に置

き、まず残り二、○○○万円につき次の方法により弁済を受けること、すなわち被

上告会社はDに対し、今後もその製品を販売するけれども、Dは被上告会社の従業

員をその取締役に加え、営業上の重要事項については、その承認を受けること、上

告人A1は右二、○○○万円の一部を弁済するため、その所有に属する小倉市a町

b丁目角所在の原判示土地家屋を時価をもつて、被上告会社に譲渡し(所有権は内

外ともに被上告会社に移転する趣旨とみられる)、その所有権移転登記をすること、

ただし三年程度で、右土地家屋の譲渡価格に相当する金額を除き、前示Dの被上告

会社に対する債務が完済せられた場合には、上告人A1は譲渡価格に相当する金員

をもつてこれを買い戻しうることとすること(したがつて、債務全額を完済すれば、

そのうえ譲渡価格を支払わなくとも買戻ができる)などの諸条項を約定したが、そ

の後判示の事情経過を辿り、上告人A1は、小倉市c町d番地e宅地五九坪三勺を

昭和二九年四月訴外Eから買い受け、右宅地上に、本件家屋を建築し、これを前示

a町b丁目所在の土地家屋の代わりに被上告会社に譲渡し、その所有権移転登記を

なすべきことを申し入れた結果被上告会社もこれを承諾し、原判示のとおり登記を

経由した旨の事実を認定したものであり、右認定は正当として是認できる。審理不

尽、理由不備、採証法則違背をいう所論は、畢竟、原審が適法にした証拠の取捨判

断ならびに事実認定に関する専権行使を非難するにすぎず、また、契約成立に関す

る法条の解釈の誤りをいう所論は原審の認定と相容れない事実を前提とするもので

あり、いずれも採用に値しない。

同第五点について。

原審が確定した事実関係のもとにおいては、本件不動産の譲渡にあたり、その時

価について明確な協定がなされなかつたからといつて、譲渡の事実ないし譲渡の効

果を否定すべきではない旨の原審の判断は正当であり、これに反する所論は独自の

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見解として排斥を免れない。また、所論中右譲渡に伴つてなされた登記の無効をい

う部分は、原審の認定と相容れない事実を前提とするものであつて、採用できない。

同第六点について。

原審が昭和二九年九月当時の本件家屋およびその敷地の時価は高く見積つても三

五〇万円を超えることはないと認定したからといつて、所論民訴一八六条に違背す

るものでないこというまでもない。所論は採用できない。

同第七点について。

原判決は本件家屋は代物弁済として譲渡された旨判示したものである。所論は、

原判決が右譲渡を譲渡担保に基づくものと判示したごとく曲解して所論違法がある

ごとくいうものであり、採用できない。

同第八点について。

原判決は、挙示の証拠により、被上告会社は判示代物弁済の合意に基づき、上告

人A1および訴外Eの同意を得て、右宅地については、昭和二五年五月一日、中間

の登記を省略してEから直接被上告会社に所有権移転登記をなし、本件家屋は、い

まだ保存登記がなされていなかつたので、上告人A1の同意を得て、昭和二九年一

一月二九日、直接被上告会社のため所有権保存登記をなした旨認定したものであり、

右認定は正当として是認することができる。所論は理由不備をいうが、結局、原審

が適法にした証拠の取捨判断および事実認定を争うにすぎず、上告適法の理由とし

難い。

同第九点について。

原審は、上告人A1は本件家屋の建築にあたりその名義で建築基準法所定の建築

確認申請をし、建築主事の建築確認通知書(甲第二二号証の一)の交付を受け、本

件家屋を建築したものであるが、いまだ登録・登記手続をしない間に、被上告会社

に譲渡し、かつ被上告会社において直接その所有権保存登記をすることに同意し、

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建築確認通知書をも被上告会社に交付したので、被上告会社は右建築の管理者とな

つた訴外G工務店に依頼して建築確認通相書中「建築主の住所氏名欄」に原判示の

ような訂正をして被上告会社が建築主であるような記載をなさしめ、これを土地家

屋調査土訴外Fに交付して新築申告書を作成せしめて福岡法務局に提出せしめ、家

屋台帳に被上告会社を右家屋の所有者として登録し、次いで家屋台帳の右記載に基

づき、被上告会社名義で保存登記をなしたとの事実を確定し、右事実関係のもとで

は、家屋台帳の登録手続に些少のかしがあるといいえても、それが実体的な法律関

係に合している限り、これに基づいてなされた保存登記は無効となることはない旨

判断した。右判断は正当であり、所論のような違法はないというべきである。�

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条一項但書に従い、裁判官全員の

一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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