大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)1013 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由第一点について。

本件金銭消費貸借契約及び抵当権設定契約は、上告人の未成年当時、上告人の親

権者が法定代理人として、被上告人の代理人との間に、上告人を借主とし、上告人

所有の不動産をその債権の抵当物件としてこれを締結したものである。而して、法

定代理人と本人との間に利益相反する関係があるか否かは、専ら、行為自体を観察

して判断すべきものであつて、その行為に至つた縁由を考慮して判断すべきもので

はない(大正七年(オ)第四四二号同年九月一三日大民判、大民録二四輯下一六八

四頁参照)。されば、仮令、これ等の契約の締結が、所論の如くに、借入金を親権

者自身の用途に供するためであつたとしても、それは、契約に至つた縁由にすぎな

いのであつて、本件各契約自体に対する観察上、上告人とその親権者とが、所論の

如き利益相反する関係にあつたとは、認められない。以上と同旨の原判決は正当で

ある。また、論旨引用の判例は、事案を異にする本件に適切でない。

論旨は、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、理由がない。

同第二点について。

上告人の法定代理人の一人であつたその母Dが、本件消費貸借契約及び抵当権設

定契約につき、同意して居らなかつたことを、被上告人及びその代理人において、

契約当時知つて居つたものであるとの所論事実は、証拠上、原審の否定する所であ

る。事実に関するこの判断は、これを是認し得る。

論旨は、畢竟、原審の専権に委ねられた証拠の取捨判断、事実の認定を攻撃する

か、或は原審の認定しない事実を主張し、これによつて原判決を非難するかに帰着

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する。したがつて、論旨は、上告適法の理由としては、これを採用し得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 五 鬼 土 堅 磐

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