大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)1391 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士青柳孝、同青柳孝夫の上告理由は別紙のとおりである。

上告理由の一について。

論旨は、上告人の本件許可処分の取消を求める訴は、行政事件訴訟特例法二条但

書の適用によつて不適法ではない旨を主張するのであるが、上告人が農事調停の申

立をし、また訴外Dから土地返還訴訟を提起されたからといつて、上告人が農地法

八五条による訴願をするについて何らの支障はなく、また、訴願裁決を経ることに

よつて著しい損害を生ずる虞があると認められないことは原判示のとおりである。

原判決が右の訴を不適法として却下したのは正当であつて、これを非難する論旨は

理由がない。

上告理由の二について。

(一)論旨は、訴外Dは真実自作の意思がなかつたにもかかわらず、原判決が自

作の意思を認定して本件解約の許可を正当としたのは、農地法二〇条二項三号の解

釈適用を誤つた違法があるというのである。

しかし、右の主張事実は、原判決の認定に反するのみならず、右Dの内心の意図

は明白に表示されているわけではなく、かえつて、上告人が解約承諾書に捺印して

いる事実、その他原判決が認定した事実によれば、被上告人が右Dの自作の意思を

認めたのはむしろ当然である。かりにこの点に関する被上告人の認定に誤りがあつ

たとしても、許可処分に明白な瑕疵があるとはいえず、許可処分を無効とすべき理

由はない。

(二)論旨は、上告人は替地について異議を述べたのであるから、解約の合意は

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成立していないというのであるが、原判決が認定した経過によれば、原判決の説明

するように、上告人の異議は替地の水引についてであつて、合意解約そのものに関

するものとは認められないから、所論のように本件許可処分前に解約の合意がなか

つたとはいえない。

上告理由の三について。

原判決は、本件解約は農地法二〇条四号に該当する旨の一審判決理由を引用する

とともに、さらに、上告人の同条三号に該当しないとの主張に対し、同号にも該当

する旨を説明しており、そして、この点に関する原判決の趣旨は十分に首肯するこ

とができる。原判決に所論のような理由不備の違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

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