最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)646 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人下尾栄の上告理由第一点について。
原判決が、所論の如く判示していることは所論のとおりである。しかし原判決の
確定した事実によれば、被控訴人(被上告人)は昭和二一年五月中訴外Dに対し被
控訴人所有の本件土地を賃貸したこと、その後同訴外人は右地上に判示二棟の建物
を建築していたが、その後控訴会社(上告人)が右二棟の建物をその敷地の賃借権
とともに譲受けた上、該建物を改造して現況は原判決添附別紙第二目録記載の如き
一棟の建物となし、現にこれを所有していること、右敷地賃借権譲渡については、
被控訴人の承諾がなかつたこと、被控訴人は訴外Dに対し昭和二七年二月一二日同
人の本件土地の賃料不払並びに賃借権の無断譲渡を理由として内容証明郵便にて本
件賃貸借契約解除の意思表示をなし、右郵便はその頃到達したことが認められる。
そして本件記録によれば、上告人(被告)は第一審における昭和三〇年一月二四日
の口頭弁論期日において、本件建物買取請求権を行使したものであることが明らか
である。このように第三者が賃借土地の上に存する建物の所有権を取得した場合に
おいて、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しない間に貸借が賃料不払のため解除された
ときは、借地法一〇条に基く第三者の建物買取請求権はこれによつて消滅するもの
と解するのを相当とする。従つて此の点に関する前記原判決の判断は肯認し得ると
ころである。而して被上告人において訴外Dと本件建物譲渡前の延滞敷地賃料の分
割払を協定した旨の上告人の主張事実は、原審の認定しなかつた事実である。
所論は原審の認定にそわない事実を前提としてまた独自の見解に立つて原判決を
非難するに帰し、採るを得ない。
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同第二点について。
原判決が訴外Eに本件賃借権譲渡に対する賃貸人の承諾を(賃貸人に代理して)
なす権限がなく、従つて右Eの判示の如き所為をもつて直ちに被控訴人が右譲渡を
承諾した事実を認定する資料となし難い旨判示したこと、および被上告人が訴外D
に対し所論賃料の分割払を認め、弁済期を猶予した事は認められない旨判示したこ
とは原審挙示の証拠関係、事実関係からこれを肯認し得るところである。
原判決に所論の違法は存せず、所論は原審の認定にそわざる事実を前提として原
審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとお
り判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 横 田 正 俊
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 石 坂 修 一
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
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