大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)665 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人小谷勝重、同白井正美、同磯崎良誉、同小坂重吉の上告理由第一点に

ついて。

本件地上の工作物が所論のとおり建物といいうるとしても、地上建物に登記のな

い土地賃貸借の場合には、賃借人は、土地の譲受人に対抗しえないところ、当時右

建物に登記がなされていたことの主張立証がないから上告人主張の賃貸借承継の主

張は採用できないとした原判示は肯認できる。本件地上工作物が建物に該当するか

否かの論旨は、結局判決に影響しない点を論ずるものであつて採用しえない。�

同第二点について。

所論は、原審が所論賃貸借継続に関する合意成立の事実を認定しなかつた点に証

拠法則違背経験則違反があり、右につき原判決に理由不備があるというが、その実

質は、結局、原審の専権たる証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰着し採用

できない。

同第三点について。

所論表見代理の主張を排斥した原審判断は、原判文ならびに記録に徴し肯認でき

るところであり、原判決に所論違法はない。原審の証拠の取捨を云為する論旨は、

原審の専権たることを論難するものであつて採用の限りでない。

同第四点について。

所論は被上告人の代理人たるDにおいて、上告人が従前から有する賃借権に基づ

き将来引続き本件土地を使用することを承認したとの事実を以て、被上告人が前主

E兄弟から本件土地の賃貸人たる地位を承継したことを主張するが、右主張事実は

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明確に原審が認定できないとしたところであり、原審の右認定判示は挙示の証拠関

係に照し肯認できる。所論は、右に関する原審の証拠の取捨、事実の認定に異を唱

え、前示原審認定外の事実を前提として原判決を非難するものであつて、上告適法

の理由とならない。

同第五点の一ないし八について。

原判決引用の第一審判決が、原告(被上告人)の判示主張ならびに供述から、「

原告の本訴請求によつて五階百貨店の営業者が一時常業を中止するの已むなきに至

ることがあつても、当然永久的に失業するものとは速断し得ない」と認定判示した

点は、記録に徴し肯認できるところであり、更に右判示が、「その他原告(被上告

人)の本訴請求が社会生活上到底認容し得ざるが如き不当な結果を惹起し或は他人

に損害を加える目的のみでなされる等公序良俗に反し道義上許すべからざるものと

認むべき証拠が十分でない」として、本訴請求が民法一条の趣旨に反するとの被告

(上告人)主張を排斥した点も記録に徴し首肯できる。従つて、原判決に所論違法

はない。

所論は、ひつきょう原審認定外の事実を以て原判決を非難するに帰着し採用し難

い。

同第五点の九、一〇について。

所論は、原判決に影響なきことをいうもので採用の限りでない。

同第六点について。

所論は、本件土地の前主たるF弟と新所有者たる被上告人間に黙示の賃貸借承継

の合意があったとの事実を前提とするものであるが、右事案は原審の認定しないと

ころであつて、所論はすべて前提を欠き採用できない。

同第七点について。

所論の当時Dが被上告人より何らかの代理権を与えられていたとの事実は認めら

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れないとした原審の証拠判断は挙示の証拠関係ならびに記録に照し肯認できる。所

論は、原審認定外の事実を以て、原判決がDの所論代理行為を認めず、表見代理成

立の要件たる基本代理権限の存在を認めなかつたことを審理不尽理由不備に名を藉

りて論難するものであつて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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