大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和36(オ)960 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人堀込俊夫の上告理由第一点について。

論旨が指摘する原判示は、上告人が所論登記義務の履行につき、現実の提供はも

とより口頭の提供をも含めていかなる提供をもしたことの主張・立証をしていない

との趣旨であつて(この判断は記録に徴し首肯しうる。)、所論のように右履行の

提供が現実の提供でなければならないのにそれがされていないとの趣旨でないこと

は、原判文上明らかである。それゆえ、本件登記義務の履行については口頭の提供

にて足りるのに、原判決がその点法令の解釈を誤つたとする論旨は、原判示を正解

しないものであり、その前提を欠く議論というべきである。その他の論旨も、ひつ

きよう、原判示にそわない事実を主張して、原判決の判断を非難するものであり、

採用できない。

同第二点について。

論旨4で被上告人が所論所有権移転登記義務について先給付の約定があつた旨の

裁判上の自白をしたというが、記録上そのような事実を認めるに由ないし、その他

の論旨も、原判示にそわない事実を前提として、原審の裁量に委ねられた証拠の取

捨判断、事実認定を非難するにすぎない。論旨は採用できない。

同第三点について。

論旨も、ひつきよう、証拠の取捨判断および事実認定非難に帰する(論旨の末尾

に、裁判上の自白云々というが、相手方の本人尋問における供述内容を援用しても

自白となるものではないのみならず、所論指摘の被上告人本人の供述の内容を原審

は所論先給付の合意成立の趣旨に解していないことは原判文上明らかであり、原審

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の右判断は首肯できる)。論旨は採りえない。

同第四点について。

上告人の所論事情変更の主張を排斥した原判示判断は、当裁判所も正当として是

認し得られる。そして、本件建物の敷地の地代に関する所論は、本訴と関係のない

ことである。論旨は採用できない。

同第五点について。

論旨は、原判決が民法一条に違背するというが、原判決が認定した事実関係のも

とにおいては、所論は未だ肯定するに足りないから、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 横 田 正 俊

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