大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)1068 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人佐藤智彦の上告理由第一点について。

(1)について。原審は所論贈与の事実は認めがたい旨判示しているのであるか

ら、原判決には所論の判断遺脱はない。

(2)および(4)(一)(二)について。所論は、ひつきよう、原審が適法に

した証拠の取捨、事実認定の非難に帰着する。

(3)および(4)(三)について。上告状とともに提出した新たな証拠を根拠

として、原審のした事実認定を論難攻撃することは許されないし、所論甲第三号証

ないし第五号証の原本につき、第一審以来適式な証拠調がなされていることは記録

に徴し明白である。また、所論「甲三号証の委任状に基づき翌一三日長治の印鑑届

がなされた云々」の事実は、単なる間接事実にすぎないから、当事者の主張がなく

ても裁判所において右事実を認定しうることはいうまでもない。要するに、論旨は、

いずれも理由がない。

(4)(四)について。所論は、Bが第一審において提出した所論書面には法定

の印紙の貼用がない等法定の答弁書の要件を具備していないから、民訴法一三八条

を適用する余地のないことを前提として原判決を非難するが、答弁書たる標題を掲

げた書面であつても請求の趣旨に対する答弁(反対申立)の記載を含まないものは、

通常の準備書面と同じく印紙の貼用を要しないものと解すべきところ、記録に徴す

れば、B提出の右書面は、「答弁申上ます」と題し、その内容にも「答弁書のつも

りでしたが私的な内容も混入してしまい云々」とあるが、本訴請求の趣旨に対する

反対申立の記載はないから、前示のとおり法定の印紙の貼用を要しないものと解す

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べきであるし、また、右書面には必ずしも民訴法二四四条の形式に合致しない点が

あるとしても、これを無効として同法一三八条の適用を排除すべき程度の瑕疵があ

るものとはいえないから、第一審で右書面の記載事項が陳述されたものとみなされ

たことを是認してこの陳述が擬制されたことおよびその陳述の内容を所論事実認定

の資料とした原判決には、なんらの違法もないものといわなければならない。その

他の論旨も、結局において、原審が適法にした証拠の取捨判断ないし事実の認定を

非難するに帰着し、所論違憲の主張もこの意味で適法な上告理由と認めることはで

きない。論旨は、いずれも採用しがたい。

同第二点について。

所論(1)、(2)に主張する「必要性の存否」や「異議を言わなかつた事実」

などのようないわゆる間接事実については、とくに原審が摘示判断をなす必要がな

いことはいうまでもないことである。所論(3)に指摘の上告人の信義則違反の主

張は、要するに、上告人が登記簿を信用した善意の取得者であり、かつDが自から

須賀川市役所より交付を受けてBに渡した印鑑証明書等を信じたがゆえに本件山林

を買い受けたのであるからというのがその理由とされているところ、これらのこと

はいずれも原判決において摘示され、かつその理由のないことが判示されているこ

と原判文に徴し明らかであるので、原判決には所論判断遺脱はない。

また、所論(4)は、上告人の民法一一〇条、一〇九条等の表見代理に関する主

張につき原審は判断をしていないというが、かかる主張は、上告人において原審で

主張した形跡がないのみならず、上告人は一審以来本件山林をその所有者たるBよ

り買い受けたと主張しているのであり、Dを代理する右Bより買い受けたとは主張

していないのであるから、所論表見代理を論ずべき余地もない。されば、論旨は、

いずれも採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

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とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 柏 原 語 六

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 田 中 二 郎

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