最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)1291 判決
主 文
原判決中、貸金請求に関する部分を除くその余の部分を破棄する。
右部分につき、本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人星野国次郎の上告理由について。
原審の挙示する証拠、特に甲第六号証(預り証)には、単に「新三菱重工業四〇
〇〇株」を預る旨の記載がなされているにすぎず、右株券の番号、枚数、株主名義
人等、預託された株券を特定するに足りる記載がなされていない事実が認められ、
右の事実に前記株券が信用取引による株式売買の損失金担保のための証拠金代用と
して差し入れられたとの原判示の本件における事実関係を併せ考慮すれば、特に反
対の意思表示のないかぎり、むしろ寄託の対象たる前記特定の株券の返還不能の場
合には、同種同数の株券(不特定物)をもつて返還する旨の合意が少なくとも黙示
でなされていると認定する余地が存すると考えられるところ、原審が、この点に関
する審理を充分に尽すことなく、首肯するに足りる理由を示さないで、右合意の存
在を否定し上告人の請求をすべて排斥したのは違法であり、この点に関する論旨は
理由がある。そして、右特約の存否は上告人の株券引渡請求等を認容すべきか否か
について影響を及ぼすこと明らかであるから、右特約の存否についてさらに審理を
尽させるため、本件を原審に差し戻すのを相当と認める。
よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す
る。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 柏 原 語 六
裁判官 石 坂 修 一
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
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裁判官 横 田 正 俊
裁判官 田 中 二 郎
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