大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)1340 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人芦苅直巳、同石川悌二、同久保恭孝の上告理由第一点について。

所論印刷機械の買受人、またDに対して本件債務を負担していた債務者が、訴外

E印刷株式会社ではなくて被上告人の父F個人であつたとの原審の認定は、その挙

示の証拠関係に照らして首肯できる。本件土地が右Fにおいて自己の出捐を以て払

下を受けたものであることは、原審の認定しないところであり、本件土地が本件和

解における代物弁済契約のなされた当時名義上のみ被上告人の所有であつたとの上

告人の主張を排斥した原判決の判断は、その挙示の証拠関係に照らして首肯するに

足りる。論旨は結局、原審で主張せずまたは原審の認定しない事実をもまじえつつ、

原審の適法になした証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰するものであつて、

採用するに足りない。

同第二点について。

所論は、原審が被上告人のなした所論利益相反行為の抗弁を却下しなかつたのは、

民訴法一三九条の解釈適用を誤つたものであるというが、記録によれば、原審にお

いて、昭和三七年一月一九日の最終口頭弁論期日に被上告人が同日付準備書面に基

づき所論利益相反行為の抗弁を提出し、上告人は、これに対し、本件和解における

代物弁済契約が実質的にも被上告人とその親権者Fとの利益相反行為にあたるもの

ではなく、また仮に利益相反行為にあたるものであるとしても右契約については被

上告人と利益相反しない親権者母Gが被上告人の代理人として関与しているのであ

るから右契約は有効である旨主張して被上告人の右抗弁を争つた後当事者双方他に

主張立証なしとして弁論が終結されたことが明らかである。従つて、原審が右抗弁

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につきこれがため特に訴訟の完結を遅延させたものではないとしてこれを却下しな

かつたのは正当である。それゆえ、論旨は採用でき左い。

同第三点について。

本件土地が実質的には被上告人の父Fの所有に属するものであつたことおよび本

件土地についてなされた所論代物弁済契約が被上告人のためまたは被上告人ら一家

の生計維持のためなされたものであることは、原審の認定しないところである。論

旨は、原審の認定しない事実を前提として、原審の適法になした判断を非難するに

帰するから、採用しえない。

同第四点について。

所論は、被上告人の親権者父たるFについて特別代理人が選任されなかつたこと

を理由に本件和解においてなされた本件土地に関する代物弁済契約を無効と判断し

た原判決は、民法八二六条八一八条の解釈適用を誤まつたものであるというが、民

法八二六条は親権者の一方がその子と利益相反し他の親権者が利益相反関係にない

場合にも適用があつて、このような場合は利益相反する親権者において特別代理人

の選任を求め、特別代理人と利益相反関係にない親権者とが共同して未成年の子の

法定代理をなすべきものであることは、当裁判所の判例(昭和三三年(オ)第九六

八号同三五年二月二五日第一小法廷判決、民集一四巻二号二七九頁参照)とすると

ころである。従つて、論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 柏 原 語 六

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裁判官 田 中 二 郎

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