最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)408 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人冨川信寿、同鈴木政行、同穴水広真の上告理由第一点について。
原判決ならびにその引用する一審判決は、工事に一部分でも未完成部分があると
きは、工事代金の支払時期が到来しない。そして、未完成部分が未払代金に比し極
めて僅少であるときは、信義則上代金支払期日の未到来を主張することが許されな
いと解すべきではあるが、本件の場合、挙示のように他に不完全な工事部分がある
ことをもしんしゃくすれば、被控訴人(被上告人)が本件の残代金の支払を拒否す
ることをもつて信義則に反するとはいえない旨を判示したものであつて、右判断は
正当として当裁判所もこれを肯定する。所論は、以上と異る見解に立つて原判決を
非難するものであつて、採用できない。
同第二点について。
原判決は、前示のように工事に軽微な未完成部分のある場合の請負代金支払義務
を信義則上肯定するか否かにつき、工事の不完全部分の存在および程度をしんしや
くしたものにすぎないから、原判決が他方において工事に不完全部分があることを
もつて直ちに請負代金の支払を拒みえない旨判示しているからといつて、彼此理由
に齟齬があるとはいえず、もとより理由に不備があるともいえない。論旨は採用で
きない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 横 田 正
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裁判官 河 村 又
裁判官 垂 水 克
裁判官 石 坂 修
裁判官 五 鬼 上 堅
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