最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)901 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人盛川康の上告理由第一点について。
論旨は、原判示に添わない事実を主張して、原審の裁量に委ねられた証拠の取捨
判断、事実の認定を攻撃するに帰着するものであるか、または、民法四八九条より
優先して適用せらるべき同法四八八条二項の規定を無視する独自の見解に立つて原
判決を非難するものかであつて、何れもこれを採り得ない。
同第二点について。
論旨指摘の事実認定は、これに対応する原判決挙示の証拠によれば是認し得られ
る。原審の証拠及び事実に関する判断に所論の違法はない。論旨は、結局、原審の
裁量に委ねられた証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰着するものであつて、
これを採り得ない。
同第三点について。
所論自動車一台につき、所論一五万円の債権の担保として抵当権が設定登録せら
れた旨の原判示事実の認定は、これに対応する原判示挙示の証拠によれば、是認し
得られる。
なるほど、被上告人は、所論第一審第一回口頭弁論において、右自動車を含む上
告人所有の自動車二台につき、本件二〇万円の債権の担保として抵当権が設定せら
れ居つた旨の上告人主張事実を認めたこと、所論の通りである。しかしながら、記
録によれば、その後、被上告人は、昭和三五年一二月一六日の第一審第七回口頭弁
論において、右主張事実を否認する旨記載せられた同月六日附準備書面に基き陳述
して、右自白を撤回したこと明かであるにも拘らず、上告人は、これに対し、原審
- 1 -
の口頭弁論終結に至るまで、異議を述べた形迹が何等ないから、上告人は、右自白
の撤回を暗黙裡に同意して居つたものとなすべきである。�
その同意のなかつたことを前提として原判決に所論の違法があると主張する論旨
は、前提において既に失当である。
論旨は、これを採り得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 石 坂 修 一
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
- 2 -