大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(あ)2445 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人小林澄男の上告趣意第一点について。

所論は、違憲(二八条違反)をいうが、実質は、単なる法令違反の主張であつて、

上告適法の理由に当らない。なお、公共企業体等労働関係法一七条一項に違反して

なされた争議行為にも、労働組合法一条二項の適用があるものと解すべきである(

昭和三九年(あ)第二九六号同四一年一〇月二六日大法廷判決、刑集二〇巻八号九

〇一頁参照)から、これに反する原判示は、法令の解釈を誤つたものといわなけれ

ばならない。しかしながら、同条項の適用があるからといつて、公共企業体等労働

関係法一七条一項違反の争議行為がすべて正当となるものではなく、暴力を伴う場

合には、正当性の限界をこえるものとして、刑事制裁を免れないものといわなけれ

ばならない(前記大法廷判決参照)。そして、原判決の肯認した第一審判決認定の

事実によると、被告人は、公務員である郵便課長Aが職務を執行するに際して、同

課長の腕をつかんだりして、同課長が所持していた公用文書を奪うなどの暴行を加

え、同課長の公務の執行を妨害し、かつ同課長および貯金保険課長Bが第三者に交

付しようとしていた公用文書を破り、あるいは焼くなどして毀棄したというのであ

るから、これを違法なものとした原判決は相当である。

同第二点について。

所論は、単なる法令違反の主張であつて、上告適法の理由に当らない。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項本文により、裁判官下村

三郎の意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

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裁判官下村三郎の意見は、次のとおりである。

弁護人小林澄男の上告趣意第一点について。

公共企業体等労働関係法一七条一項に違反してなされた争議行為については労働

組合法一条二項の適用はないものと解すべく、適用ありとする前記引用の昭和四一

年一〇月二六日大法廷判決の判旨には賛成することができない。その理由は、右大

法廷判決における奥野健一、草鹿浅之介、石田和外三裁判官の反対意見と同趣旨で

あるから、ここにこれを引用する。

右見解によれば、原判決には、公共企業体等労働関係法一七条一項に関し、法令

の解釈を誤つた違法はないものといわなければならない。

昭和四二年九月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 下 村 三 郎

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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