大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)1354 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人加藤正次の上告理由第一点について。

所論は、原判決の重大な事実誤認をいうが、原審の専権に属することを非難する

にすぎず、採るに足らない。また、理由そごの所論は、右事実誤認の主張を前提と

するものであつて、採用の限りでない。

同第二点について。�

所論は、民法六〇六条の規定は契約自由の原則に何ら規制も加えられない時代に

適用されるものであつて、賃料額の約定が統制法規に服し、賃貸物件の修繕費を見

込んで賃料額を自由に定めることの許されない現在では、そのまま適用されるべき

でないのに、原判決が右の関係を無視し本件にこれを適用した点に違法があるとい

うが、原判決は、本件家屋の状況に比べてその賃料額がかなり低廉なものであるこ

とは認められるとしながら、入居当時の情誼などからして台風に際しての僅少の修

繕費等を賃借人たる被上告人が賃貸人たる上告人に要求しうる関係にはなかつた等

上告人主張の特段の事情は認められないとし、従つて、本件家屋の修繕費の負担が

すべて賃借人にあるとは解しがたいとして、本件家屋自体の維持保存のためにも必

要な原審認定の費用のごときは賃料額にかかわらず、特約のないかぎり賃貸人にお

いてこれを償還すべきであり、かかる義務を上告人に負担させても公平を失するも

のではないと判断しているのであつて、この認定判断は肯認できる。所論は、ひつ

きよう、原審の認定にそわない事情を前提に考えて異見を述べるにすぎず、採用で

きない。�

同第三点について。

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所論は、原審の認定にそわない事実関係を主張して原判決の違法をいうものであ

つて、上告理由として採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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