大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)1418 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人徳永平次の上告理由第一、二点について。

原判決が、一方において、訴外亡Dには妻子があって、釜山に別居している事実

を判示し、他方、Dと被上告人との間に成立した判示信託的債権譲渡契約において

は、被上告人が取り立てた金員中判示立替金等の支払に充てた残余は釜山にいるD

の甥に送金するということが約定された旨判示していることは所論のとおりである。

しかし、このように、Dが、別に妻子を有しながら、右取立金の剰余の送付先を甥

に指定したことは、特段に異例のこととはいえないから、原判決が、右取立金の剰

余を釜山の甥に送付することの約定がなにゆえなされたかの理由を示さないからと

いって、所論理由不備の違法はなく、また、原判決の前記判示が前後矛盾するわけ

ではないから所論理由そごの違法も存しない。所論はいずれも採用できない。

同第三点について。

原審の確定した事実関係によれば、亡Dの被上告人に対する本件貸金債権を含む

金銭債権の信託的譲渡契約は、被上告人において、これを同人の名で取り立てたう

え、その中から被上告人のDに対する判示立替金等の支払に充て、Dの死後なお残

りがあれば、釜山にいるDの甥に送金させる目的のためになされ、かつ、右のよう

な貸金の取立ならびに送金の委託の約定を伴うものであるが、右委託事務の内容か

らすれば、当事者は委託者たるDの死亡によっても委託を終了させない旨を特約し

た趣旨と解される。叙上と同一の見解によって、Dの死亡の事実は被上告人が本件

貸金債権の取立をなす妨げとならないとした原審の判断には、審理不尽、理由不備

の違法あるいは法の解釈を誤った違法は存しない。所論は採用できない。

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よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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