大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)174 判決

主 文

原判決中上告人敗訴部分を破棄する。

右部分につき本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人片山克次の上告理由(一)(イ)、(二)及び(三)について。

原審の認定判断したところによると、Dの死亡による相続財産の管理人である訴

外Eは、昭和三元年九月一九日、上告人との間に相続財産中の本件建物について賃

貸借契約を締結したが、右Eは処分の権限を有しないこと及び右賃貸借契約書の文

言等によれば、本件建物の賃貸借契約には期間を定めていないが、民法六〇二条所

定の賃貸借期間としての効力を生じ、ただしその期間内においても右建物が競落さ

れて所有権が他に帰属したようなときには終了する旨を約定したものと認めるのが

相当であるから、上告人の賃借権は昭和三二年一二月二七日における被上告人の競

落による所有権取得と同時に消滅したものというべきである、というのである。

ところで、処分の権限を有しない者のした期間の定めのない建物賃貸借は民法六

〇二条所定の期間を超えないいわゆる短期賃貸借に該当すると解するのが相当であ

るが(昭和三九年六月一九日第二小法廷判決、民集一八巻五号七九五頁参照)、か

かる短期賃貸借にも借家法一条一項の適用を否定すべき理由はないから、一時使用

の為めの賃貸借である等他に借家法の適用を排除する事由の認定されていない本件

にあつては、建物が競落されて所有権が他に帰属したようなときは賃貸借は終了す

る旨の前記約定は、右借家法一条一項の規定に反する賃借人に不利な特約として、

同法六条により無効なものと解すべきである。従つて右約定を有効とする前提に立

つた上で、被上告人の競落による所有権取得と同時に上告人の賃借権が消滅したと

解した前記の原判決は違法であつて、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、民訴法四〇七条により、裁判官全

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員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

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