大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)490 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人菅原昌人、同岡田義雄の上告理由について。

論旨には、本件土地中原審が明渡を命じた部分を以つて、上告人が前地主であつ

た訴外Dより賃借し、適法に占有するものであるとの事実を主張し、この事実につ

いて原審が釈明権の行使を怠り審理を尽さず、その結果原判決が法令に違反するに

至つたとするところがある。

しかしながら、所論賃貸借は、原審が証拠上これを否定して居るものであつて、

右論旨は、結局、原審の認定に添わない事実を主張し、これを前提として原判決を

非難するに帰着するものであるから、上告適法の理由とならない。

また論旨には、本件土地中右明渡を命じた部分が上告人において鉄屑商としての

事業経営上必要不可缺であり、これがなければ土地建物の賃借も無意味であると主

張し、この前提に立つて、原審が乙二号証の前文但書に対し経験則に適合した解釈

をなさなかつたものであるとし、畢竟、これ、原審の審理不尽であり、そのため重

大な事実の誤認に至つたものであるというところがある。

しかしながら、本件土地中所論の部分が上告人の所論事業経営上不可缺であると

の事実は、原審において主張判断がないのみならず、所論証拠に対する原審の判断

に所論違法があるとなすべき事迹を認め得ない。

右論旨は、結局、原審において主張判断のなかつた事実を主張し、これにより原

判決を非難するか、または、原審の裁量に委ねられた証拠の判断、事実の認定を攻

撃するに帰着するものであつて、上告適法の理由とならない。

その余の論旨は、原判決主文通りの土地明渡をすれば上告人の賃借する所論工場

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敷地は、完全に他人所有の土地に囲繞された袋地となり道路に通ずることが不可能

となるのであつて、かかる結果を招来する被上告人の本訴請求は、民法二一〇条、

二一一条二項の趣旨に反し権利濫用となるのみならず、このことにつき原審が釈明

権の行使を怠り、審理を尽さず、そのため重大な事実誤認に至つた旨主張するにあ

る。�

しかしながら、右事実関係は、原審において主張判断がないばかりでなく、所論

工場敷地が袋地となる事態を招くとしても、囲繞地通行権が民法上考えられている

のであるから、被上告人の請求認容の結果袋地が生ずることをもつて権利濫用とは

いえない。�

したがつて、右論旨は前提において既に失当である。

右論旨は、すべて採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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