大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和39(あ)708 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人吉田久の上告趣意第一点について。

所論は、被告人Aが第一審判示の期間中被告会社の支配人または代表者であつた

ことは優にこれを認めることができる旨の原説示を論難するものである。

論旨は、事実認定に対する論難であつて、適法な上告理由に当らない。

同第二点について。

所論は、原判決の「原判示(第一審判示)第一の一、三にいう事実の価格および

別表第一、第三にいう到着価格は、いずれも関税定率法にいう課税価格を意味し、

原判示第一の一にいう到着価格は、別表第一、第三にいう申告価格を意味すること

が判文上明らかであつて、原判決には、用語の使用方法が統一されていないきらい

はあるが、要するに右課税価格より低い価格で申告して輸入手続をし、正規の関税

額より低い金額を支払つて関税の逋脱をしたというのであり、罪となるべき事実を

判示するにつき何ら欠けるところがないというべきである。」との制断部分を論難

し、原判決もまた理由不備であると主張する。

論旨は、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。(なお

右に摘示した原判断は正当である。)

同第三点について。

所論は、要するに第一審判示第一の一および三のナイロンストツキングの輸入価

格は一打当り六弗以上ではなく、五弗であり、被告人Aは右ストツキングにつき税

関に対し虚偽申告をなす意思のなかつたものであるから、原判決には、採証の法則

に違反しその結果事実を誤認した違法があると主張する。

論旨は、単なる訴訟法違反と事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らな

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い。

同第四点について。

所論は、被告人Aは第一審判示第一の二、三、第四の一、第五の一の各事実につ

き自らは何ら関知しないところであり、右はすべて原審相被告人BがCと共謀し又

は単独で実行したものであると主張する。

論旨は、事実認定に対する論難であつて、適法な上告理由に当らない。

同第五点について。

所論の前段は、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)七五条

二項の関税逋脱未遂につき刑法四三条但書にいわゆる中止未遂の規定は適用の余地

がないとする原判断を論難し、右は法律の解釈適用を誤つたものであると主張する。

論旨は、単なる法令違反の主張であつて上告適法の理由に当らない。(なお、右

に摘示した原判断は正当である。)

所論の後段は、共犯のある場合には、その全員が中止することによつて、結果の

発生を防止しなければ中止犯は成立しない旨の原判断を論難し、右は大審院の判例

に違反するという。

しかし、所論の点については、原判断に合致する当裁判所の判例(昭和二四年(

れ)第一八〇〇号同年一二月一七日第二小法廷判決、刑集三巻一二号二〇二八頁、

昭和二五年(れ)第六九四号同年九月二六日第三小法廷判決、刑集不登載)がある

から、論旨判例違反の主張は、刑訴法四〇五条三号の上告理由に当らない。また、

記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のと

おり決定する。

昭和四〇年一〇月五日

最高裁判所第三小法廷

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裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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