大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)1019 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人村上秀一の上告理由第一点について。

原判決挙示の証拠によれば、原判決の認定した事実を肯認することができ、右認

定した事実関係のもとにおいては、夫婦の同居・協力義務の違反は、被上告人側に

なくしてむしろ上告人側にあり、かつ、被上告人が家計費を入れなかつたとしても

扶助義務の違反にはならず、したがつて民法七七〇条一項二号にいう悪意の遺棄と

は認められないとした原判決の判断は相当である(当裁判所第一小法廷判決昭和三

八年(オ)第七一九号、同三九年九月一七日民集一八巻七号一四六一頁参照)。�

原判決には、所論のような違法はなく、所論は採用しがたい。

同第二点および第三点について。

原判決が、その挙示の証拠により、適法に認定した事実によれば、上告人が本件

婚姻関係の破綻についてもつぱらその責任を負うべきものとする原判決の判断は、

当審も正当として是認することができる。そして、このように、婚姻関係の破綻を

もたらすことについて、もつぱらまたは主として責任のある者は離婚を請求するこ

とができないことは当裁判所の判例(当裁判所第三小法廷判決昭和二四年(オ)一

八七号、同二七年二月一九日民集六巻二号一一〇頁、同第二小法廷判決同二九年(

オ)一一六号、同二九年一一月五日民集八巻一一号二〇二三頁など)とするところ

であり、これと同旨に出た原判決は相当である(論旨引用の判例は、本件に適切で

ない)。

原判決には、所論のような違法はなく、所論は、結局、原審の適法にした事実の

認定、証拠の取捨・選択を非難するに帰するか、または、独自の見解に立つて、原

- 1 -

判決を非難するものであつて、採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 松 本 正 雄

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!